MovieWalker
より(以下一部抜粋)
>7月17日(土)より公開となる、M.ナイト・シャマラン監督のアクションファンタジー超大作『エアベンダー』。本作は、レオナルド・ディカプリオ主演のミステリー『シャッター アイランド』でも好評を博した“超日本語吹替版”が採用されることでも話題になっているが、実際にどういった点が“超”になっているのか? その内容を早速検証してみた。
ちなみに今回、超日本語吹替版を監修したのは「信長の野望」「三國志」など、数々の人気歴史シミュレーションゲームを手がけたゲームプロデューサー、シブサワ・コウ。プレイヤーをゲームの世界にのめり込ませる名手が、初の「吹替版」監修に挑み、史上最高の没入感を味わえるよう仕上げている。そんなシブサワ氏がこだわったポイントが下記の5つだ。
【その1】作品世界に、よりスムーズに入れるよう設定を説明
ファンタジー映画には複雑な設定がつきもの。本作も「氣、水、土、火の4つの王国が登場し、各国にそれぞれ4つのエレメントを操る“ベンダー”と呼ばれる能力者が存在している」といった複雑な設定になっているが、これだと事前情報をまったく知らずに見た場合、面くらってしまうことは確実だ。その点“超吹替版”では、よりスムーズに作品世界へ没入できるよう、セリフ内に分かりやすい説明が加えられている。ゲームで培われた“一瞬にして物語世界へと引き込む”ノウハウが活かされていると言えるだろう。
【その2】登場キャラの個性を最大限に引き立たせる繊細な言葉選び
エモーショナルでニュアンスの豊かなセリフ回しを実現するため、キャラクターに合ったセリフや口調を指定。たとえば、選ばれし者になるため修行を積む主人公の少年アンは、幼さと脆さを抱えた前半→悩みを抱え苦悩する中盤→使命感に燃え突き進む後半といった具合に、成長の過程を細かく表現する工夫がなされている。これにより平板になりがちなセリフが、情感豊かに響くようになっている。
【その3】なじみのない言葉を排除し、現代的で親しみのあるものに
字幕・吹替のどちらも、翻訳を経た文語調のセリフには違和感を感じてしまうことがよくある。そこで、普段なじみのない言葉を避け、どの世代にも通じる現代的な言葉を選ぶことで、セリフの違和感を排したという。「アンがスピリチュアルな場所に行けば」→「アンがパワーが宿る場所に行けば」や、「今日はまるでうわの空じゃない」→「今日は集中してないじゃない」など、ほんのわずかな違いだが、確かに聞き取りやすくなっていることがわかる。
【その4】物語をより理解できるように、登場人物の名前や移動した場所を表示
吹替版を鑑賞する際にネックになるのが、外国語の人名や地名のわかりづらさ。字幕では文字で確認することができるキャラクターの名前も、耳で聞いただけでは正確に把握できずに、そのまま物語が進んでしまい、なんてこともよくあるはず。今回の“超吹替版”では、名前や地名がテロップで表示されるため、聞き逃す心配もなく、物語に集中することができるのだ。
【その5】ダイナミックかつドラマティックで、力強さあふれる吹替版を追求
『シックス・センス』(99)、『ハプニング』(08)などで観客の度肝を抜いてきたシャマラン監督の最新作だけに、壮大な世界観と映像のすごさは折り紙つき。その雰囲気を損なわないように、飛び交うセリフも迫力に満ちた、興奮をかき立てるような言い回しがセレクトされている。
「映画は字幕で見るべき」とこだわる人は多いが、凝った3D映像を隅々まで楽しむためには、やはり見ることに集中できる吹替版が便利だ。『シャッター アイランド』大ヒット要因の一つとなり、吹替のネガティヴさを完全に払拭したといえる超日本語吹替版。『エアベンダー』でも、その新たな魅力を堪能してみてほしい。
■超日本語吹替版での言い回し一例
(1)南の水の民が住む町→南の国の町
(2)そなたは全世界でただひとり・・・検査に合格した→そなたは世界でたったひとりのアバターなのだ
(3)アン、聞こえてる?あなたは本物よ→アン、聞こえてる?あなたは選ばれし者よ
(4)行くなって言うの?おばあちゃん→おばあちゃんはきっと止めるだろうけどわたし、どうしてもあの子を・・・
(5)あの子を助けなさい。そうすればみんな救われる→さあ、あの子を探しに行きなさい。お前たちが必要よ。そしてみんながあの子を待っている
(6)いいところへ。火の国は何か企んでる。僕はうちに帰るよ。→来てくれてありがとう。火の国が攻めてくる。僕は帰らないと。
(7)名誉が戻ったのは・・・ほんのつかの間だった→一瞬だけ・・・名誉が回復した
(8)友達になれるのに→わかりあえるのに