今年の第7回本屋大賞を受賞した作家・冲方丁(「天地明察」)が原作・脚本を務めるアニメーション映画「マルドゥック・スクランブル The First Compression 圧縮 」の製作発表会が8月11日、都内で行われ、冲方と声優の林原めぐみ 、磯部勉 、工藤進 監督、音楽を担当するConischが出席した。
同 作は、冲方が2003年に発表し第24回日本SF大賞を受賞した同名小説の映画化。裏社会の策略により命を落としかけた少女娼婦バロットが、人命保護を目 的とした緊急法令「マルドゥック・スクランブル09(オー・ナイン)法」により救出され、与えられた特殊な力と相棒の言葉を解するネズミ型万能兵器ウフ コックらとともに事件に立ち向かう姿を描くハードボイルドアクション。
今年3月に発表されたバロット役の林原に加え、ウフコック役に俳優の八嶋智人 、 バロットを追い詰める宿敵ボイルド役に磯部ら、主要キャスト情報も解禁。その布陣に、工藤監督は「皆さん主役を張れる人ばかりなので、本当にいいんです か? という感じ」。冲方は、「原作を執筆しているときのテンションは非日常的なもの。その通りのイメージを出すとおかしくなってしまうので、そこは冷静 になって話し合いながら選んだ」と説明した。すでにアフレコは終了しており、久々に新しいキャラクターを演じた林原は「第一声を発した瞬間にバロットに身 をゆだねた。脚本と監督とスタッフさんが作り上げた絵に添いつつ演じた」と振り返った。
映画も原作通りの3部作となり、第1部「圧縮」は11月6日に公開初日が決まった。主題歌は故本田美奈子 . さんの「アメイジング・グレイス」になったことも発表。冲方は「(公開初日の)11月6日は本田さんの命日でもあり、運命的なものを感じる」と感慨深げ。 第1部は、工藤監督いわく「ほぼ99%完成している」そうで、冲方は「アニメなのにここまでやったのかとか言うことがありますけど、アニメだからここまで できるんだなと思った。スタッフひとりひとりのエネルギーの高さを実感して、小説の現場に戻る時、アニメーションの現場の人たちに負けたくないという思い になる」とうなった。
第2部「燃焼」は2011年秋、第3部「排気」は2012年にそれぞれ公開予定。