> 映画「あしたのジョー」(来年2月公開、監督・曽利文彦)で、主人公・矢吹丈を演じる山下智久(25)と、ライバル・力石徹役の伊勢谷友介(34)のボ クサー姿が16日、初公開された。ともにプロ並みのトレーニングを積んで、約10キロの減量に成功、体脂肪率も10%近く落とすという壮絶な役作りの成果 を見せた。さらに、試合シーンの撮影では本気の殴り合いを繰り広げ、臨場感を引き出した。

 映画「あしたのジョー」は6月初旬に撮影を終了しており、秋の完成を目指して目下、編集作業中だ。今回、21世紀のジョーと力石が挑んだ壮絶な役作りの成果が公開された。

 山下は体重62キロから53・5キロ、伊勢谷は67キロから57キロに減量。体脂肪率は山下が14%から5%、伊勢谷は15%から3~4%に落とした。 クッキリ割れた腹筋もプロ顔負けの強さに。WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志の東洋太平洋時代のチーフトレーナーで今回、2人のトレーニングを 受け持った梅津正彦氏は「腹の強さ、硬さは、現役の4回戦(ボクサー)どころか、僕が見てきた日本チャンピオンより強い」と太鼓判を押した。

 CGを得意としてきた曽利監督は「CGに頼ることなく、すべてを自分たちの肉体で表現してほしい」と2人に要求。ジョーを演じた山下は2月末から食事制 限(1日1200キロカロリー以下)に入り、3月上旬から撮影終了までトレーニング。撮影のあるなしにかかわらず、ボクシングアクションと腹筋、背筋を一 日2~3セットというハードメニューに挑んだ。

 力石は原作では極端な減量が死に至る原因となるだけに、伊勢谷の減量はさらに壮絶。1食約250キロカロリーの特注弁当だけで一日を過ごし、約4か月か けて本格的なトレーニングをこなしてきた。最後の数日はイライラを人にぶつけないよう、本番以外は人気のない所で過ごしたという。

 よりリアルに見せるため、試合のシーンも本気で殴り合った。「『本気で来い』という伊勢谷さんと本気で殴り合えたことで『言葉じゃなく心が通じる』とい うのを身をもって感じることができました」と山下。伊勢谷も「ボクサーのすごさを体感することが出来た、素晴らしい経験。(作品を)見たい!」と激闘の日 々を振り返り、完成を心待ちにしていた。

 ◆体脂肪率 体内の脂肪の割合。成人男性は15~20%、女性では20~25%が正常範囲。男性は25%以上、女性は30%以上だと軽度の肥満とされ る。スポーツマンの理想的な数値は競技により異なるが、男子では5~18%、女子では6~20%。ただし低過ぎると体温や筋力、骨の硬度などが落ちること も。

 ◆あしたのジョー 高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画で「少年マガジン」に1968~73年にかけて連載されたボクシング漫画。主人公・矢吹丈と ライバル・力石徹の宿命の戦いを軸に描かれ、力石が死んだ後、実際に葬儀が執り行われるほどの人気。また、世界チャンピオンの座をかけてホセ・メンドーサ 戦に臨み、判定負けを喫した丈が真っ白に燃え尽きたシーンも有名。70年に映画化され、石橋正次が丈、亀石征一郎が力石、辰巳柳太郎さんが丹下段平を演じ た。