>1992年のメジャーデビュー以来、ミュージックシーンのど真ん中を走り続けるMr.Children。2008年にリリースされた 「SUPERMARKET FANTASY」は150万枚を売り上げ、ツアーも80万人を動員。今さら言うまでもないが、間違いなく彼らは日本を代表するトップアーティストである。 おそらく、彼らの曲を聴いたことのない人の方が少ないくらいだろう。そんなMr.Childrenの今を映し出したのが9月4日(土)より公開の 『Mr.Children Split The Difference』だ。
Mr.Childrenの最高の状態を届けようと企画されたこの「Split The Difference」。彼らのホームグラウンドであるレコーディングスタジオに、約20~50人のゲストが招かれ、彼らが演奏したい曲を演奏したい形で 披露されていく。計6回行われたレコーディング、それを撮影した映像の記録だ。
披露される曲は、メジャーな曲ではない。コアなファンでなければ、曲名さえわからないのも多いはず。そんななかでも印象に残るのは、2002年にリ リースされたアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」に収録されている「ファスナー」という曲。ある女性がスカートのファスナーを自分で下ろしたことをきっかけに、自分や相手に見え隠れする心の 奥底を歌ったセクシーで奥深い曲だ。これを、Mr.Childrenの盟友、スガシカオがゲストとして登場し、歌いあげる。あの細くて女心をそそる甘い 声。とにかく色っぽい。そして、それを目の前から見守る桜井の嬉しそうな顔。目には見えないけれど、ふたりが、その場が、音楽を共有していることを見せつ けてくれる貴重な場面だ。
全体を通して言えるのは、ボーカル桜井和寿の顔、リズムを取る足などすべての映像が近いということ。ライブDVDとは全く違う。本当にそこで歌って いるような錯覚に陥る。1対1という感覚。そう、これは単なるドキュメンタリー映画ではないのだ。
Mr.Childrenが放つ新しいLIVEなのであ る。彼らが今届けたいと願った音楽が、そこに凝縮されている。シンプルに音楽を音楽として届けたい、という思いが伝わってくる。モンスターバンドゆえの心 情なのかはわからないが、Mr.Childrenはもっと私たちに近づきたいのかもしれない。だからこそ、最高の状態の音楽を届けようと奔走しているので はないだろうか。それを切り取った本作は、ファンのみならず必見だ。