開催中の第67回ベネチア国際映画祭で、コンペ部門に出品され日本映画として13年ぶりの金獅子賞を目指す映画「ノルウェイの森」(12月11日公開) が3日(現地時間2日夜)、公式上映された。上映後は3分間におよぶ盛大なスタンディングオベーションで迎えられ、今後の手応えを感じさせた。

 客席で鑑賞していた主演の松山ケンイチ(25)は「大成功でうれしい。たくさんの方に見てもらえる確信ができて、最高な1日になりました」と感激。ヒロイン役の菊地凛子(29)、水原希子(19)も喜んだ。

 上映前のレッドカーペットでは、ベネチア入りしたとき「遊びに来たんじゃない。(金獅子賞を)獲りに来ました」と宣言して臨んだ松山だったが、緊張で表情も堅くなりがち。

 対照的に、米アカデミー賞、カンヌと続いてこれで3度目の大舞台となる菊地は余裕たっぷりで、金髪にゴールドのミニドレスで脚線美をたっぷり披露しながら、松山の肩に手を掛け、笑顔でカメラマンの注文に応じた。

 公式上映の前には、松山や菊地、トラン・アン・ユン監督(47)が公式会見に臨んだ。

 原作は世界36の言語で翻訳され毎年、ノーベル文学賞受賞がささやかれる村上春樹氏(61)の大ベストセラー。海外での知名度が高い菊地に加え、「松山 はこれが海外映画祭デビューだが、出演作は海外でかなり人気があり、知名度は意外に高い」(ベテラン映画評論家)こともあり、日本映画としては珍しく各国 から150人もの報道陣が集まった。

 質問が集中したのは原作に多い性描写。松山は「原作は生々しく、忠実にやるなら相当の覚悟が必要だったが、撮影は胸から上だけ。表情に気を使った」と説 明。菊地は、「キャストに恵まれた。松山さんは協力的で役に真摯に向き合う。出演できてラッキーでした」と笑顔を浮かべた。

 「ノルウェイの森」は主人公・ワタナベ(松山)と自殺した友人の恋人(菊地)を軸に、青春時代の性や恋愛など様々な葛藤を通して「喪失と再生」を描いている。

 日本からは三池崇史監督「十三人の刺客」もコンペにエントリー。主要各賞は、最終日の12日未明(現地時間11日夜)に発表される。