夕刊フジ より(以下一部抜粋)

>合成麻薬MDMAを一緒に飲んで容体が急変した飲食店従業員、田中香織さん(当時30)を放置し、死亡させたとして保護責任者遺棄致死など4つの罪に問わ れた裁判員裁判で、検察側から懲役6年を求刑された元俳優、押尾学被告(32)。公判では事件当日の身勝手な言動、過去の証言のうそ、薬物の常習性が次々 明らかになった。17日の判決公判では、どんなジャッジが下されるのか。

 事件当日の昨年8月2日に田中さんの容体が急変した後の押尾被告の言動については、証人尋問で元現場マネジャーが「(押尾被告に)身代わりを頼まれた」と証言。

 これに対し、押尾被告は被告人質問で「第一発見者になってほしいと言っただけ。身代わりは頼んでいない」と反論したが、「119通報しなかった理由は?」と問われると、「薬が発覚するのが嫌だった」と、苦しむ田中さんより保身を優先したことを認めた。

 昨年10月の薬物事件の公判で、うその証言をしていたことも露呈した。

 押尾被告は、日本で過去にMDMAを使ったことがないことや、事件当日に服用した錠剤を1錠と述べていたが、事件以前にも田中さんとMDMAを服用し、当日に飲んだMDMAは5錠だったと証言。

 男性裁判員に「MDMAを使って気分が悪くなったことはあるか」と問われると「逆で気持ちいいです」と答えていた。

 判決は、裁判官と、男性4人、女性2人の裁判員による評議を経て言い渡される。

 裁判員裁判では今年5月、さいたま地裁で、強制わいせつ致傷罪に問われた男が求刑懲役7年を上回る懲役8年の実刑判決を受けたケースがある。

 弁護士で日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏は「求刑懲役6年は若干軽い気がする」と感想を述べ、田中さんの死亡については「救急医の証言で、致死の因果関係は立証されたように見える」との見解。判決が求刑を上回る可能性については「ないこともない」とした。

 薬物事件と芸能界復帰を繰り返し、今月7日に再び覚せい剤取締法違反の罪で起訴された元俳優の清水健太郎被告(57)を取材したこともある芸能評論家の肥留間正明氏は、押尾被告の芸能界復帰については「絶望的」と語る。

 「清水の場合は、勢いがあったVシネマ界に『拾う神』がいたが、押尾被告はとっくに芸能界の鼻つまみだ」と指摘。

 「苦しむ人間を見放したり、マネジャーを身代わりにしようと考える人間を使おうと思うわけがない。出版社が押尾被告の告白本を作るにしても、印税が彼に支払われると考えれば、読者も買う気にならないのでは」と厳しく見ている。