はい 前編はこちら

察しの良い方はとうにお気づきでしょうが、フル・どこが?・フロンタルの物真似で現れたのはシャア真似芸人のぬまっちさんでした。似てねっての!

この第二話って、売りが「シャアの再来といわれているフル・フロンタル登場」なわけで、その声を演じる池田秀一さんがゲストというので人をよんでるトークイベントなんですから、広い会場を埋め尽くしているのってほぼ全員がシャア或いは池田秀一さんの根っからのファンと思って間違いないわけですよ。

その会場中から刺すような視線で、しかも何か一言いうたびに見下げ果てられて、さぞやぬまっちさんはお辛かったことでしょう。悪いのはご本人じゃなくてこのイベントに彼を起用して「受ける」と考えた人です(浅はかにも程があると思う)。

私達は池田秀一さんのお声が聞きたくてこの場にいるんですよ。それを前座にもならない下手な物真似で(だって直前に本物聞いてるのよ?)何分も何分もお茶を濁されたら辛抱も切れるというものです。笑いをとったのはぬまっちさんがフル・スベリ・フロンタルのしゃべりの合間に一瞬だけバナージになった時だけ。それもほとんど失笑レベルでしたけど。

ぬまっちさんに恨みはないですけど、一同に会したファンの前で披露するんだったらもう少し芸を磨いてこいと言いたいですね。真似じゃなくて、本物のシャア或いはフル・フロンタルになりきるぐらいの心意気が欲しいわ。

次に登壇した原作者の
福井晴敏さんは開口一番にこんなに冷えきった空気の中での挨拶は初めてだみたいな事をおっしゃってたと思います。この次点でぬまっちさんはすでに素に戻ってたんですが、だから「物真似」レベルなんですよね、言わせて貰えば。一度フル・フロンタルの衣装を身につけたら何があろうとずっと彼になりきって冷たい視線に耐え抜くぐらいの気概が本人に備わってないから、そこをファンに見透かされてバカにされるんです。卑しくもシャアの物真似するんだったら、たかが「受けない」とか「すべった」ぐらいの小さな事でオタオタしてないで、そこから一発逆転、起死回生を計らんかい!


――失礼いたしました。
なかなか怒りが、ええ、おさまらないものでして。


途中省略いたしまして、いよいよ池田秀一さんの登壇です。
まずはシャアのセリフから(だったと思う)ご挨拶。
おお、これこれ、これぞシャアの声、そしてフル・フロンタルでもある美声。まがいもの(=ぬまっち版)とは似ても似つかぬこの深み、たまりませぬ!


で?
あれ?
あの~?
もう、おしまいですか?!

ワタクシ今回初めて知ったんですが、池田秀一さんってシャアじゃなくてシャイみたいで、全然こっちの観客側に顔見せて下さらないんですよ。隣に座っているぬまっちさんに心持ち背を向けて(あの扮装、フル・フロンタルがバカっっぽく見えるんでイヤだったんだろうな……。映画の中で自分が演じているキャラクターまでがバカになったような気がしたに違いないわ)、観客に対してはうつむいて。トークショー全体を通じてほとんどそのポーズのまま。な、何をそんなに恥じらっていらっしゃるの?!

もちろん喋る時は顔を上げるんですが、でも話題を振られた時しか話さないし、それも必要最小限みたいな感じで……。お声はもちろん素晴らしいのですが、全然自己主張なさらないのです。

あのシャアは、完全に演技で作り上げたキャラクターなのですね~。当然の事とはいえ、落差にまたまたびっくりです。

トークショーではすでに「ガンダムUC第三話」のアフレコが行われた話になって、この時はスケジュールの都合でキャスト全員が揃うことができなかったので二日に分けて別録りをしたとおっしゃってました。絵の方がまだあんまりできてなくて、見られる部分が少なかったとかなんとか……ごにょごにょ。現在突貫ペースで鋭意作業中だそうでございます(発売日が決まって世に出ちゃったから、何が何でも間に合わせなきゃいけないんだそうですよ~)。

それから、ガンダムのアフレコをずっとやってきた中で原作があったのは池田さんは今回が初めてだそうで、原作を読むことによって最後まで話の流れが分かるので、キャラクター造形も演技もやりやすいとおっしゃってました。まあ確かに物語がどう転ぶか分からないまま思わせぶりなセリフを喋らされるのはやりにくいでしょうね。

池田さんを真ん中に
原作者である福井さんが向かって左、ぬまっちさんが右に座っていたのですが、さっきも書いたように池田さんはぬまっちさんに対して心持ち背を向けていましたので、気持ち福井さんの方に体が向いていて、それでお二人は対話といい形でトークが進んでいたのですが、ぬまっちさんに対しては話題を振られれば言葉上は丁寧に「ありがたいことです」みたいな答えを返すものの、体は全然向き合おうとしないんですよね。

その頂点とも言うべき返事が、司会進行のおねーさんに
「ぬまっちさんの物真似、どう思います? 似てますか?」
と問われた時の、その時だけちらりと彼を見ての
「池田、がんばります!」

それ、全然質問の答えになってませんってば!

もちろん館内爆笑。

その答えを受けて、いくばくかのぬまっちさんに対するフォローが司会の方からあったあと、もう一度同様の質問をされた時も答えは

「池田、ますますがんばります!」

だからそれ、答えじゃありませんってば~~~!!

この「池田、がんばります」という答えは「これからも引き続きシャアと彼の再来と言われるフル・フロンタルは自分が持ち役として演じ続けます」という意味だと思うんですが、それすなわち「ぬまっちにシャアとフル・フロンタルは任せられん!」という内心の叫びに相違ないと私は踏んでおります。

ごく最近、声優会の重鎮であられた野沢那智さんがお亡くなりになりました。彼の持ち役は、たとえば若本規夫さんが引き継いだりしておりますが、同じ声優さんですから声や話し方の特徴を真似るだけではなくちゃんと演技も受け継いでいるんですよね。

でも、山田康夫さんが亡くなった時、ルパンの役は声優ではなく彼の物真似で売ってた栗田寛一さんが引き継ぎました。

ということは、今うっかり池田秀一さんが急逝されたりしたら(万が一にもそんな事がないよう祈ります!)、ひょっとしてまかりまちがったら、ぬまっちさんがフル・フロンタルに抜擢されちゃう可能性がなきにしもあらずなんですよ。ってゆーか、その可能性大なんでしょうね、こんなイベントに呼ばれるぐらいなんですから。

それだけは勘弁して欲しい!

それまで背を向けていたぬまっちさんを一瞥した時、秀一さんの胸に去来したのはそんな思いだったのではないでしょうか? そこに居合わせたファン一同、間違いなくその意見に同意しますが。

今、自分に万が一の事があれば、これまで大事に育てて来たシャアというキャラクターが、フル・フロンタルともどもセルフ・パロディとして滑稽の域に堕してしまう――そんな事にならないためにも健康管理に気をつけてこれからもがんばらねば……!

そんな思いが
「池田、がんばります!」
に込められていたように思えてならないのですよ、私には。

ルパンは、そもそもが笑いをとるキャラクターとしての側面があったからまだいいですが、シャアというキャラクターにそういう面はないんですよ。ユーモアはあっても、彼は常にシリアスなの。

それを、シャアの真似っこで笑いをとってた人にアフレコさせたら、キャラクターとしての死ですよ。「シャア」は存続するにしろ、常に「あのセリフの……」という枕詞付きで笑いをとるだけのパロディキャラに成り下がる。それだけは絶対に避けて欲しい、いや、避けるべきなんです。

というわけで、池田秀一さんには本当にこれからもますますがんばって頂きたい。「ガンダムUC」第三話が劇場公開されたらまた絶対見に行っちゃいますから!! 第6話で完結するまでご無事で、この世にシャアのある限り息災で、がんばってくださいね!

というわけで、微妙に無駄が多かったけれども楽しいトークイベントでした。

今内容を思い出そうとして思い出せないのは、最初にフル・フロンタルモドキが出てきた時、頭真っ白になったせいだと思います。

あ、映画の内容は、じきレンタル解禁なのでご自分の目で確かめてくださいませませ~♪ うふふふふ♪





ひとつだけリーク♪
冒頭、第一話のあらすじが語られるのですが、そのお声が池田秀一さんなんです♪ このナレーション、聞きやすくて最高でした。なんとも美しい日本語に耳が肥える気がしますよ~ん♪