『クラッシュ』のポール・ハギス監督、仏『すべて彼女のために』リメイクは「深慮の余地あり」で決定!
シネマトゥデイより(以下一部抜粋)>映画『ミリオンダラー・ベイビー』脚本でアカデミー賞にノミネートされ、さらに映画『クラッシュ』で作品賞と脚本賞を受賞した名匠ポール・ハギス監督が、 新作映画『ザ・ネクスト・スリー・デイズ / The Next Three Days』(原題)について詳細を語った。
ポール・ハギス監督映画『クラッシュ』写真ギャラリー
同作はある日、妻(エリザベス・バンクス)が突然殺人容疑で逮捕され、彼女は無実を訴えるが、次々と不利な証拠があがり、法廷で禁固刑20年が言い渡さ れる。精神的に追い詰められた妻を救うため、夫(ラッセル・クロウ)は妻の脱獄を計画するのだった……。フランス映画『すべて彼女のために』をリメイクし た作品である。
まず、ハギス監督は「1年半前にオリジナル映画を観て、緊張感のある素晴らしい作品と感じたが、もう少しキャラクターの構成上で探索できる余地があると思って、今回のリメイクを決断したんだ」と製作のきっかけを語った。
そしてキャスティングについて、「僕は、俳優を思い描いて脚本を執筆することはないんだ。なぜなら思い描いてしまうと、脚本の内容を調整してしまうから で、そんな脚本で映画が成功するとは思えない。ただ今回は、脚本を書き終えた時点で、ラッセルの名前はトップリストに入っていたんだ。でも、彼はちょうど 長期にわたって行われていた映画『ロビン・フッド』の撮影を終えたばかりで、しばらく休暇を取りたがっていた。僕はそんなときに彼に脚本を送ってしまった んだ……」と少し不安だった様子。「運良く彼がその脚本を気に入ってくれて、僕をバーベキューに招待してくれたんだ。そして僕が希望していた1週間後の撮 影開始ではなく、5週間後に撮影を行うことで、ようやく彼から出演の承諾を得ることができたんだ」と休暇を取りたがっていたラッセルを引き戻すほど、脚本 の内容に自信を見せたハギス監督。
ピッツバーグでの撮影は、「選択した理由は幾つかあった。まず映画の撮影環境が良いんだ。次に、ピッツバーグはもともと男っぽい鉄鋼の町だったが、今で は医学や芸術などの教育に力を入れている。ちょうど、ラッセル演じる大学教授と、ラッセルの父親役を演じるブライアン・デネヒーの男らしい力強さが、この ピッツバーグの町を象徴しているように思えたんだ。さらに、移動手段が多いこと、フェンスが町にたくさんあって、絵的に面白い箇所も多く、真実をつかむま での逃亡劇には最適な場所だと思ったんだ」とロケーション・スカウトも入念に行ったようだ。
作品の魅力について「ラッセル演じる夫には、全く不確かな現実が目の前にある。それは、誰もが妻が殺人犯だと思っていて、彼女の家族や弁護士でさえも彼 女を疑っているんだ。すべての証拠が一か所を指し示していて、夫はその証拠を信じるか、愛する妻を信じるかの厳しい選択を迫られるんだよ」とハギス監督が 語ったように、助けている夫も、心理的に不安な立場であることが、本作をより面白くさせている。
ハギス監督は本作で、映画『真夜中のピアニスト』や映画『アンプロフェット/ Un Prophete』(原題)の撮影監督ステファーヌ・フォンテーヌとタッグを組み、無駄な照明を使わない1970年代映画のような映像と個性的なキャラク ター設定を意図的に構成した。それゆえに、映画は緊張感あふれる内容に仕上がっている。