シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)

>映画『スリー・キングス』や『ハッカビーズ』など個性的な作品を制作してきたデヴィッド・O・ラッセル監督が、マー ク・ウォールバーグを主演にしたアカデミー賞作品賞候補の新作『ザ・ファイター(原題) / The Fighter』について語った。

 同作は、実在する元プロボクサーのミッキー・ウォード(マーク・ウォールバーグ)と、かつてはシュガー・レイ・レナードと戦った実力派のボクサー だったが、ドラッグに溺れて犯罪に手を染めて刑務所送りとなってしまった異父兄ディッキー・エクランド(クリスチャン・ベイル)との兄弟愛を描いた作品。 鍛え上げられた体で、激しいボクシングを見せるマーク・ウォールバーグと、この役のために激やせして、さらに髪の毛まで抜いてチャレンジしたクリスチャ ン・ベイルの演技が魅力の作品だ。


 製作経緯について、デヴィッドは「主人公のミッキーの家族は、髪をブロンドに染めた7人の娘たちと、2人のファイターとなった息子たちがいる家族 構成で、彼らの会話は生々しくて面白くてリアルなんだ。だから、これだけ個性的なキャラクターがいることで、これまで観たことのないボクシング映画ができ ると思ったんだ」と語った。ちなみに、一時期、映画『レクイエム・フォー・ドリーム』を監督したダーレン・アロノフスキーが今作を監督する予定だったそう だが、彼が映画『レスラー』を制作したために降板して、代わりにデヴィッドがメガホンを取ったそうだ。


 ミッキー・ウォードを演じたマーク・ウォールバーグについて「彼は、この映画の舞台であるマサチューセッツ州の出身で、家族もこの映画と同じよう に9人兄弟がいる。それに、彼の兄ドニー・ウォールバーグはマークより先に芸能界に入っていた。つまりフィールド(分野)は違うが、実在するミッキーとす ごく育った環境が似ているんだよ。実際のミッキーは兄のディッキーとは違い、規律を守ってトレーニングするタイプだったんだ」と述べたデヴィッドは、マー クは名優スペンサー・トレイシーやジェームズ・キャグニーのように、映画に真実味を与える良い役者だと評価している。



 ディッキー・エクランドを演じたクリスチャン・ベイルについては「彼は完璧にディッキーになりきってくれたよ! 髪を抜いてハゲにして、激ヤセし てみせてくれた! 普段の彼は非常に物静かでプライベートな人物だが、この役ディッキーは黙っていることができないような口うるさい男で、彼とは対照的な 人物なんだ。そんなディッキー役を演じるために、彼は歯並びまで変えてくれたんだ」と彼の変貌ぶりに驚いたそうだ。実は、このディッキー役は一時期、ブ ラッド・ピットにオファーされていたらしいが、この映画を観ればクリスチャンが適役であったことがわかる。

 ボクシングのシーンの撮影について「実は、このボクシングのシーンの撮影は3日間しかなかったんだ。実際によくボクシング中継を流しているチャン ネルHBOの撮影クルーを雇って、6台のカメラで同時に撮影したんだ。しかもそのカメラは1990年代に使われていたもので、意図的に映像が荒れているも のにした。ちなみに、このファイトシーンで使われているアナウンサーのコメントは、実際にミッキーが戦った試合のものも吹き込まれているんだよ」と明かし た。


 この映画でデヴィッドは、これまでの個性的な独立系作品から新境地を切り開いたように思える。実在するミッキーとディッキーは、この映画のために マークの家に3週間滞在して、マークと話し合いながらトレーニングを共にしたそうだ。さて、この映画は来年のオスカー候補の作品となるのだろうか?


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