産経新聞より(以下一部抜粋)

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 人気テレビドラマ「相棒」が、2年半ぶりに、スクリーンに帰って来た。タイトルは「相棒-劇場版II-警視庁占拠!特命係の一番長い夜」(和泉聖治監 督)。主演の水谷豊は「“相棒”が代わって初めての劇場版。2人で、目の前で起きる大きなことに向かいました」。“相棒”の及川光博は「映画ならではの、 スケールを感じて」とアピールした。

 及川とのタッグで、1年半が過ぎた。水谷は「僕たちが意識すると、不自然になるから、2人で役柄の関係について話し合ったことは一度もないんですよ」。 ただ、撮影後、見つめ合ってほほえみながら、うなずいた場面が何度もあるそう。及川は「水谷さんの口癖であるOKってことなんだろうな、と。空気をつかむ ようにパートナーシップを得ていった」という。

 《日本の警察の要所、警視庁本部内で幹部12人が人質となる籠城事件が発生。特命係の杉下右京(水谷)と神戸尊(及川)はいち早く事件に気づくが、事件は思わぬ展開を見せ…》

 水谷は「もともと尊は、警視庁からの密命を受けて特命に入ってきた。だから、警察内部の事件は2人で向かうにはふさわしいなと思いました」と話す。

 正月映画らしくお楽しみシーンが満載で、水谷の“アクションシーン”(?)も。及川によれば「台本を読んだときは緊迫した場面だと思っていたので、あんなにクスクス笑えるシーンになるとは思わなかった」という。

 衝撃のラストも用意されている。テレビシリーズも放送中だけに、水谷は「これから相棒はどうなるのかとスタッフに聞いたら、どうなるんでしょう、と (笑)。瞬間瞬間でやりたいことをやっていく。生っぽくていいですよね」。及川も「台本をもらうまで展開が分からないので、役柄の日常を生きている感覚で す」と話した。

 平成12年にテレビドラマでスタートしたシリーズは11年目。当初から「大人」を意識して作られ、スタッフが固定観念にとらわれないことも成功の一因だった。

 「バディものは、頭脳派と肉体派という、以前の相棒のような定説がある。でも、今は天才と秀才。守りに入らず攻めてきたことが、相棒が長く続く一因になったのでは」と水谷。

 「相棒」は、警察組織の中で、正義を全うすることの困難さを描いてきた。それゆえ、水谷は「桜田門からにらまれませんか」と質問されたことも。「今のところ、好意的に受け入れられている実感があるんですけど」とニヤリ。

 今回の映画のキャッチコピーは「あなたの正義を問う。」。水谷は自身の正義について「人を裏切らない。その前にまず自分を裏切らないこと」と話す。

 10年続けた役柄については、「今だにどういう人なのか分からない。でも、分かってはいけないと思っている。彼をパターンでしか考えられなくなるから。僕は自分のことだって58年間、分かっていないんですよ」。役者たちが相棒にかけた“正義”がスクリーンにある。