> 約5,850円(45ポンド)という低予算で製作された映画『コリン LOVE OF THE DEAD』が3月5日より日本でも公開されることが明らかになった。各国の映画祭で話題となった本作を監督したマーク・プライス監督には、早くも大手映画会社からオファーが来ているという。(1ポンド=130円計算)
ゾンビ映画の巨匠! ジョージ・A・ロメロ監督の映画『サバイバル・オブ・ザ・デッド』場面写真
本作は、プライス監督が、製作、脚本、撮影、編集、録音を一人で手掛けた、製作費約5,850円という新世代のゾンビ映画。プライス監督は運送会社で夜勤をしながら脚本を書き、撮影は休日を中心に18か月かけて行うという徹底した倹約ぶりを披露。劇中に使用された銃声などの効果音も、お祭りの日に遠くから聞こえていた花火の音をビデオカメラでとり、パソコンで加工したもの。編集も監督自前のパソコンで行われた。
スタッフ、キャストの多くは監督の知人、友人であり、もちろんギャラはゼロ。彼らに提供された紅茶やビスケットといった軽食類も持ち寄りだ。大量のゾンビが押し寄せる場面のエキストラは、FacebookなどのSNSを通して募集され、出演者は汚れてもいい自前の衣装に、ゾンビメイクを施して、ゾンビに変身した。
製作費ゼロで完成させることを目指していたというプライス監督だが、実際には高校生のお小遣い程度の出費を余儀なくされてしまった。気になる支出の内訳は、エキストラ用の軽食、撮影でどうしても必要だった小道具、新品のミニDVテープというみみっちさ。撮影では基本的にテープを使い回していたが、ある日、監督がテープを持ってくるのを忘れ、新品を買わなくてはいけなかったというちょっとオマヌケなエピソードも。
だが、そうして完成した映画の出来は本物。レインダンス映画祭、南アフリカ・ホラーフェスタなどで入賞すると、その製作費の少なさと圧倒的なクオリティーで大きな話題を呼んだ。昨年公開されたホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』も低予算で撮影されたと話題になったが、それでも100万円を超える予算であり、本作がいかに破格の低予算で制作されたかがうかがえる。
本作は、ゾンビの発生により世紀末的世界となったロンドンを、自らもゾンビとなってしまった青年コリンが、恋人との思い出の場所を目指してさまよう姿を描いた作品。特殊メイクは映画『ネバーランド』『ザ・ウォーカー』といったハリウッド作品にも参加したミシェル・ウェッブが担当しており、とても1万円以下で製作されたとは思えない見事なゾンビメイクに仕上げている。
映画『コリン LOVE OF THE DEAD』は3月5日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開