>テレビドラマ“僕”シリーズのスタッフ&キャストが、余命少ない妻に捧げる小説を書き続けた夫の姿を描いたラブストーリー『僕と妻の1778の物語』が公開初日を迎え、出演の草なぎ剛、竹内結子、星護監督が舞台挨拶を行った。
原作は「ねらわれた学園」などで知られる、SF小説家・眉村卓とがんで亡くなった悦子夫人との実話。SF作家の朔太郎(草なぎ剛)は、妻の節子(竹内結子)が大腸癌で余命一年であることを知る。医師から「笑うことで免疫力が上がることがある」と聞かされ、がん細胞を撃退できるような笑える小説を書こうと決意。1日1篇の短編小説を書き続けることを誓う。
『黄泉がえり』以来、7年ぶり3度目の共演となった草なぎ剛と竹内結子。草なぎは「自分で言うのもなんですが、素晴らしい共演ができたと思います。撮影現場では、偶然空が晴れたり、奇跡のようなことが重なった。今日公開初日を迎えることができましたが、今朝、僕は『公開だぁ!』と、まるで劇中の節子のように両手を広げて起きました。今日という日を迎えられて幸せな気持ちです」と喜びの気持ちを語った。それに対し、竹内は「たぶん手を広げて起きた時は、そういう気分ではなくて、いろんな意味で全てを受け入れるという気持ちだったのではないかなと思います(笑)。私ももちろん嬉しい気持ちはあります」と映画のPRなどで多忙な草なぎを気遣ったかのような優しい笑みを浮かべて挨拶した。
今回の役作りについて、草なぎは「これまでも“僕”シリーズでは、監督とたくさん話し合ってきましたが、今回はお互いの深い気持ちの部分も見せ合って少し照れくさいこともありました。ふたりで朔太郎を作った気がします。監督自身の思い入れも強いのを感じて、監督自身が朔太郎だったり、節子になっている部分があった。そんな監督の目を見ていることが役作りになったかなと思います」と語った。すると星監督は「そうは思いませんけども」と、思いがけず草なぎの気持ちを否定し、会場を笑いに包んだ。「ただ、とにかく自分自身がとても感動したことを伝えたくて、他の作品にも増して、セットの片隅で草なぎさんと本当にたくさんの話しを重ねましたね。草なぎさんの俳優としての考えや直感が作品を素晴らしくしてくれたと思います」と監督は続けた。
また司会者から、「愛する人のため免疫力を上げるためには何ができる?」という質問に、草なぎは「ふたりの共通点を探してみたいですね。カレーが好きだったら毎日カレーを作ります。カレーは香辛料とか免疫力を上げてくれると思います」とコメント。一方の竹内は、「1日1カレーに勝るものはないと思いますね。人を笑わせることって難しいことだと思いますし、その人が笑っていられるために、笑顔で接しながら何か見つけていけたらいいなと思います。カレーを作ってくれるなら喜んで毎日カレーを食べます」と笑顔で話した。
舞台挨拶後半には、キャストのふたりが巨大な万年筆で書初め。まず、「この映画を一言で表わすなら?」というお題に対し、草なぎは「やはり“生きる”ですね。“僕”シリーズは、人がどんなふうに生きるかがテーマになっています。タイトルにも“生きる”って入ってますけど」と話すと、会場から笑い声が。というのも、今回の映画には“生きる”という字は入っていない。うっかりタイトルを間違えてしまった草なぎは、「でも根底には、どのように生きるかだと思いますし、この先もこの映画を見て、前向きに生きてもらいたいなという意味を込めました!」と、何とかか事態を収拾した。竹内は、「朔太郎は、節子に夢を見せてくれる。彼女にとって、一番の処方箋はその夢だったと思います」と、“夢”という字を発表した。
次のお題は「今年の目標」。草なぎは「“向”です。向上心をもって自分と向き合って過ごすと成長できるかなと思います」とコメント。一方の竹内が書いた文字は“成”。「まだはっきりとした目標は見つかっていませんが、日々努力していきたいです」。その字を見た草なぎは、「結子ちゃんの字は、味があるね。僕の字より良い意味で面白い」と竹内の字が気に入った様子だった。