【素顔の「江」2】
> 徳川2代将軍、秀忠の正室、江(ごう)の生涯を描く大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」。本日1月16日は、第2回「父の仇(かたき)」が放送。父を信長 に殺された江が、初めて“仇”と対面。それに合わせ、連載「素顔の『江』」第2回では、ピカイチの存在感を放つ“織田信長役”にスポットを当てる。
信長といえば、戦国随一のカリスマキャラクター。これまでの大河ドラマでは、昭和48年の「国盗り物語」で、今や時代劇の大御所となった高橋英樹が若き 時代に演じ、役者としてブレーク。ほかにも、石原プロの渡哲也が「秀吉」(平成8年)で、後輩の舘ひろしが「功名が辻」(18年)で挑戦するなど、名だた る役者がふんしてきたスター枠の役柄だ。面白いところでは、初代仮面ライダーでおなじみの藤岡弘が、昭和56年の「おんな太閤記」で信長役で出演後、再 び、64年(平成元年)の「春日局」で信長として再出演。大河では珍しいパターンだった。
「江」では、トヨエツこと豊川悦司が信長役を務める。最近では時代小説家、藤沢周平の名作を映画化した「必死剣鳥刺し」で主演したが、彼のこれまでの キャリアの中で、時代劇は数えるほどしかない。しかし、実は平成5年の「炎立つ」で、平安末期の東北地方の豪族、清原家衡を演じたことがあり、今回は18 年ぶりの大河登板となる。
最近の大河では、信長にテーマ性を持たせることが多い。例えば、舘が演じた信長は「狂気」。舘は「気持ちがいいくらい演じがいのある役だった」と当時を振り返る。今回のトヨエツ信長は、「カリスマが抱える孤独」を前面に押し出すのが特徴だ。
主人公の江(上野樹里)は、父、浅井長政(時任三郎)を信長に殺され、かたきと恨むが、面会を重ねるごとに、そのパワーにどんどんひかれていく。トヨエツ信長と初対面したシーンを演じた上野は、共演の感想をズバリ、このように話した。
「信長と私(江)は、おじと姪の関係で、信長は“親戚のおじさん”という感じなんですが、豊川さんの存在感と信長の(役衣装を着た)ビジュアルは、もうすごいとしか言いようがない!」
江は、母の市(鈴木保奈美)や、姉の茶々(宮沢りらから父のかたきの存在を聞かされ、信長に反発する気持ちを抱く。しかし、父が死んだ時は赤ん坊だった江。ここで、信長に対して、姉たちとは違った気持ちが生まれる。
「父が殺された時、江は生まれたばかりで、かたきの意識は姉たちほどはないんです。“おじ上”に父の影を追っているところもあるかもしれない。ものすご い勢いで前にすすむ信長を、江は追いかけてるんです。そして、今回は、憧れ…、恋に近いのかな…、江にとって、信長はそんな対象として描かれています。江 は信長という戦国時代のカリスマ武将を前に、知りたかったけどなかなか聞けずにいた“本心”に触れる。そのシーンは楽しみにしてください(第3回「信長の 秘密」、1月23日放送)。女性のみなさんは、信長のイメージのギャップにひかれてしまう描かれかただと思いますよ(笑)」
原作・脚本の田渕久美子さんも「この回は個人的に、かなり好きです。(人に対して)遠慮なくつっこんでいく江を通じて、信長の魅力を浮き彫りにできたと 思います」と大満足。さらに、「信長を書いていると、女性ホルモンがドバドバ出てきました。なんとも言えない気持ちになって、これはよほどいい男だったん じゃないかなぁと(笑)」と本音全開。信長の存在は執筆のスピードに好影響を与えたようだ。
「あの時代にあってとんでもない発想を次々とした信長の、孤独の深さは誰にもわからなかった。まさに孤高の天才で、死をまったく恐れない人だったとも感じています」
田渕さんが思う信長像の一端を、「人に見えないものが見え、聞こえない声が聞こえる」と、千利休(当時は宗易、演じるのは石坂浩二)の口を通じて語らせるシーンも注目だという(第3回)。
2月6日放送の第5回「本能寺の変」まで、“もう一人の主役”のようにじっくりと描かれる信長。次回以降の連載でも、引き続き取り上げたい。
> 徳川2代将軍、秀忠の正室、江(ごう)の生涯を描く大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」。本日1月16日は、第2回「父の仇(かたき)」が放送。父を信長 に殺された江が、初めて“仇”と対面。それに合わせ、連載「素顔の『江』」第2回では、ピカイチの存在感を放つ“織田信長役”にスポットを当てる。
信長といえば、戦国随一のカリスマキャラクター。これまでの大河ドラマでは、昭和48年の「国盗り物語」で、今や時代劇の大御所となった高橋英樹が若き 時代に演じ、役者としてブレーク。ほかにも、石原プロの渡哲也が「秀吉」(平成8年)で、後輩の舘ひろしが「功名が辻」(18年)で挑戦するなど、名だた る役者がふんしてきたスター枠の役柄だ。面白いところでは、初代仮面ライダーでおなじみの藤岡弘が、昭和56年の「おんな太閤記」で信長役で出演後、再 び、64年(平成元年)の「春日局」で信長として再出演。大河では珍しいパターンだった。
「江」では、トヨエツこと豊川悦司が信長役を務める。最近では時代小説家、藤沢周平の名作を映画化した「必死剣鳥刺し」で主演したが、彼のこれまでの キャリアの中で、時代劇は数えるほどしかない。しかし、実は平成5年の「炎立つ」で、平安末期の東北地方の豪族、清原家衡を演じたことがあり、今回は18 年ぶりの大河登板となる。
最近の大河では、信長にテーマ性を持たせることが多い。例えば、舘が演じた信長は「狂気」。舘は「気持ちがいいくらい演じがいのある役だった」と当時を振り返る。今回のトヨエツ信長は、「カリスマが抱える孤独」を前面に押し出すのが特徴だ。
主人公の江(上野樹里)は、父、浅井長政(時任三郎)を信長に殺され、かたきと恨むが、面会を重ねるごとに、そのパワーにどんどんひかれていく。トヨエツ信長と初対面したシーンを演じた上野は、共演の感想をズバリ、このように話した。
「信長と私(江)は、おじと姪の関係で、信長は“親戚のおじさん”という感じなんですが、豊川さんの存在感と信長の(役衣装を着た)ビジュアルは、もうすごいとしか言いようがない!」
江は、母の市(鈴木保奈美)や、姉の茶々(宮沢りらから父のかたきの存在を聞かされ、信長に反発する気持ちを抱く。しかし、父が死んだ時は赤ん坊だった江。ここで、信長に対して、姉たちとは違った気持ちが生まれる。
「父が殺された時、江は生まれたばかりで、かたきの意識は姉たちほどはないんです。“おじ上”に父の影を追っているところもあるかもしれない。ものすご い勢いで前にすすむ信長を、江は追いかけてるんです。そして、今回は、憧れ…、恋に近いのかな…、江にとって、信長はそんな対象として描かれています。江 は信長という戦国時代のカリスマ武将を前に、知りたかったけどなかなか聞けずにいた“本心”に触れる。そのシーンは楽しみにしてください(第3回「信長の 秘密」、1月23日放送)。女性のみなさんは、信長のイメージのギャップにひかれてしまう描かれかただと思いますよ(笑)」
原作・脚本の田渕久美子さんも「この回は個人的に、かなり好きです。(人に対して)遠慮なくつっこんでいく江を通じて、信長の魅力を浮き彫りにできたと 思います」と大満足。さらに、「信長を書いていると、女性ホルモンがドバドバ出てきました。なんとも言えない気持ちになって、これはよほどいい男だったん じゃないかなぁと(笑)」と本音全開。信長の存在は執筆のスピードに好影響を与えたようだ。
「あの時代にあってとんでもない発想を次々とした信長の、孤独の深さは誰にもわからなかった。まさに孤高の天才で、死をまったく恐れない人だったとも感じています」
田渕さんが思う信長像の一端を、「人に見えないものが見え、聞こえない声が聞こえる」と、千利休(当時は宗易、演じるのは石坂浩二)の口を通じて語らせるシーンも注目だという(第3回)。
2月6日放送の第5回「本能寺の変」まで、“もう一人の主役”のようにじっくりと描かれる信長。次回以降の連載でも、引き続き取り上げたい。