>『Ray レイ』(04)でアカデミー主演男優賞を受賞して以来、数々の作品で印象的な役柄を演じ、演技派俳優として広く知られるようになったジェイミー・フォックス。そんな彼の出演最新作が1月22日より2本同時に公開されている。
まずはジェラルド・バトラーとの共演作『完全なる報復』だ。本作は、妻子を惨殺した凶悪犯が司法取引により、わずか数年の禁固刑となったことに怒りを覚えた主人公クライド(ジェラルド・バトラー)が、事件の関係者全てに司法の穴を突いた復讐を繰り広げていく様を描いたサスペンス。劇中でフォックスは主人公と対峙する敏腕検事ニックを熱演している。
実はこのニックは、もともと主人公を際立たせるために設定されたキャラクターで、脚本の段階ではかなり単純な人物として描かれていた。だがフォックスは、演じるからにはクライドと対等に渡り合えるぐらい人間味あふれるキャラクターにしたいと考え、実際に検察や地方検事に会って話を聞きながら、人物像を作り込んでいったという。その甲斐あって、ニックはカリスマ性にあふれ、知的で家族思いな人物として描かれることとなり、クライドとの対峙はより迫力を増して映し出されることとなったのだ。
続いて、彼の出演するもう1つの作品が『デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』だ。ひょんなことから車で一緒に旅をすることになったふたりの男(ロバート・ダウニー・Jr.とザック・ガリフィアナキス)が行く先々でトラブルを巻き起こす様子をコミカルに描き出す。本作で彼が演じるのは、旅の後半、ふたりを助けるためにやってくる親友ダリル。ぎくしゃくする主人公たちの仲を取り持ち、史上最悪の旅に同行する第3の男を、自身も楽しみながら演じていて、前者とはひと味違った演技を見せている。
緊張感あふれるサスペンスドラマが楽しめる『完全なる報復』と、抱腹絶倒のコメディが堪能できる『デュー・デート』。全くタイプの異なる作品を一気に見れば、名優ジェイミー・フォックスの演技力を再確認することができるだろう。
「完全なる報復」
ロバート・ダウニーJr.と