MovieWalkerより(以下一部抜粋)

>現地1月16日に行われた第68回ゴールデングローブ賞の功労賞(セシル・B・デミル賞)を受賞したロバート・デ・ニーロを称えてマット・デイモンが登壇した。しかし、デ・ニーロとの関係がさほど深くないうえに、役者としては高い評価を得ているデイモンの優等生すぎたスピーチは、場をしらけさせ、デ・ニーロへの敬意をあだで返すことになった“史上最悪のスピーチ”だったとDeadline.comが報じている。


同賞は、長年にわたって映画界に貢献してきた人の功績を称えて贈られる賞だ。毎年、役者が担当する紹介スピーチは、オーバーすぎるほど功労者を称え、時には観客や視聴者の涙やスタンディングオベージョンを誘う、重要な役割を果たしている。


昨年は、同賞を受賞したマーティン・スコセッシ監督の30年来の友であるデ・ニーロが得意のジョークと下ネタで軽めに監督の業績を称えると、4度目のタッグを組んだレオナルド・ディカプリオがそれに追従して会場の笑いを誘いつつ、「マーティンは最大の友人にして最大の指導者。ベートーベンやシェイクスピアのように、後世まで名の残る偉大な監督だ」と誉め殺した。


そういった意味でいうと、デ・ニーロ監督作第2弾『グッド・シェパード』(07)で主演を務めたデイモン一人が背負うスピーチとしては、ちょっと荷が重すぎたのかもしれない。デイモンが、「映画作りに専念していたので、5年前に監督から主演オファーがあるまで、彼のことをよく知らなかったんです。彼のことを色々勉強していくうちに、彼が映画界で最も優れた俳優であると知って改めて驚きました」と紹介を始めると、最初のうちは冗談とは取れなかった観客席から、笑いどころかしらけムードが漂った。焦って出演作の名場面からデ・ニーロお得意のセリフをジェスチャー入りで物まねしてみせたデイモンだが、人々にとっては既に遠い記憶(?)。会場に若い俳優らが多かったためか、こちらもピンと来ない人が多かったようで、肩透かしとなってしまった。


それに対してデ・ニーロは気にする様子もなく、「ありがとう。君も功労賞を取るだろうから、僕が生きていたら君の紹介をしたいね」と、デイモンの演技力を褒め称えるとともに、まだまだ現役で役者を続ける意思を表明。そして「『The Fighter』の演技はなかなかだったよ」と(デイモンの出演作ではない)応戦し、こちらは正真正銘、会場の笑いを誘った。


『ゴッドファーザー』(72)、『タクシー・ドライバー』(76)、『アンタッチャブル』(87)、『カジノ』(95)など、数々の主演作のテロップが流れれば、デ・ニーロがいかに偉大な俳優であるかは一目瞭然だが、その後はデ・ニーロお得意のジョークを連発。「記者クラブのメンバーは、俳優たちと写真を撮ったらさっさとウェイターと姿を消しちゃってこの会場にいないみたいだ」「宣伝の仕方が悪かったから、会場の皆さんは、僕の作品をあんまり見ていないどころか知らない人も多いのではないでしょうか」と、メンバーの選択眼をチクリ。また「映画を作るのも子供を育てるのもお金がかかるけれど、映画と違って子供は、利益を増やすために簡単に3Dバージョンにできないからね」と昨今の3Dブームも批判した。


時には司会者のリッキー・ジャーヴェイスもびっくりというほどの数々の辛らつなジョークを連発しながらも、デ・ニーロはキャリアの後半から数多く出演するようになったコメディ俳優としての資質を十分に発揮しながら、功労賞を受け取った。


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