産経新聞 より(以下一部抜粋)

【素顔の「江」3】

> 徳川2代将軍、秀忠の正室、江(ごう)の生涯を描く大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」。1月23日に放送の第3回「信長の秘密」では、比叡山の焼き討ちなど、なぜ織田信長が世間や家臣たちに恐れられる非道な行動をとるのか、豊川悦司演じる信長本人が思いのたけを江(上野樹里)に語る。屋敷陽太郎チーフプロデューサーは「脚本の田渕久美子さんならではの解釈。そこから信長の二面性が堪能できる展開になっている」と見どころを話す。

 本連載では、今回も「トヨエツ信長」にスポットを当て、撮影中のエピソードなどをお届けしよう。

 演出の伊勢田雅也氏によると、「豊川さんは、とにかくアイディアがすごくある方」という。

 例えば、先週の第2回「父の仇」で、江と信長の初対面のシーンの終盤。信長の部屋に“突撃”した江が去った後、ひとり部屋に残った信長は、一息ついた後、持っていたヤリを投げ飛ばし、窓の格子を突き破ったところで場面が終わる。見ていてギョッとするが、信長の“普通でない”人物像を端的に表したカットになった。

 しかし、この場面は、はじめのプランでは普通にヤリを床にブスリと突き刺し終わるものだった。それが、豊川の発案で先の演出になったという。「ヤリを外に向かって勢いよく投げることで、『思うままに生きよ』と江にメッセージを伝えようとする信長の爽快感が出ました」と伊勢田氏。「豊川さんは表現手段が豊富で、いろいろなプランを出してこられる」と、打ち合わせの段階から感嘆しきりという。

 まだ先になるが、第5回「本能寺の変」(2月6日放送)でも、豊川発案の“NHKコード破り”が実現している。

 大河ドラマは、幅広い年齢層の視聴者が見ることをふまえ、戦いのシーンなどでの「血」は控えめにしている。画面が血みどろ、というのは、確かにお茶の間ではいただけないものだが、本能寺で倒れる信長の迫力を出すために、豊川は血のりの量にこだわった。その様子をみると、白い着物には相当量の赤い“血”が施されている。豊川は顔にも思いっきりつけたかったらしいが、そこは踏みとどまったとのことだ。

 ちなみに、上野と豊川が今回の大河で初めて撮影を共にしたのが、この「本能寺の変」の信長の最後のシーンだった。「初めまして」の2人が、いきなりクライマックスシーンを撮影…。なかなか厳しい状況だろう。伊勢田氏ら現場のスタッフも、序盤の最大の見せ場がうまく撮れるか「ドキドキしていた」が、「2人とも(役者として)初めて会うなんて全然感じさせないテンションで、すばらしいあがりになりました」(伊勢田氏)。

 さて。ここで、「ん?」と思った方もいらっしゃるだろう。信長の最後のシーンに、江がいるの…? どんな演出になっているかは、見てのお楽しみだ



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