大作不発-。この正月映画興行の結果がまとまった。前回は3D超大作「アバター」の大ヒットで潤った映画業界だが、この正月は寒波に覆われた列島同様、冷え込んでしまったのだ。
「こんなはずではなかった、というのが正直なところ」と都内のシネコン関係者ががっかりするのが、稼ぎ頭として期待された「ハリー・ポッターと死の秘宝 PARTI」の伸び悩み。興行収入70億円が近づき、十分、ヒットしているのだが、シリーズ最終章の前編であり、テレビのスポットCMを大量に投下して の結果だけに、配給関係者も少々浮かぬ顔だ。「目標の100億円は遠くなった。大人も十分楽しめる内容の濃さがウリだったのに、それがファミリー離れを招 いたのかな。3D化が間に合わなかったのも痛い」とベテラン評論家。
ハリポタはまだ健闘した方で、他の洋画大作は期待を大きく裏切った。
3D映画元年と呼ばれた2010年を締めくくる作品として期待された「トロン:レガシー」は、興収約20億円。リドリー・スコット監督とラッセル・クロ ウというヒット映画コンビの「ロビン・フッド」に至っては、興収約7億円と、ヒットの目安10億円台到達すら難しそうだ。
邦画は洋画に足を引っ張られた。鳴り物入りで封切られた木村拓哉主演の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、興収約38億円。「最初にぶち あげていた目標80億円は花火としても、映画会社側は『60億円は狙いたい』と思っていたようだ。最終的には40億円台になりそうで、損はないが、吹っ切 れない数字」と劇場関係者。波動砲も今ひとつ、破壊力がなかったようだ。
邦画の“隠れ本命”と呼ばれていた「相棒-劇場版II-」は、興収約24億円。第1作の約43億円を上回る可能性は低くなった。「それでも配給の東映は かなり満足。地方の客足はまだ衰えず、さらに上積みが期待できる。すでに第3作もゴーサインが出た」(ベテラン映画評論家)。東映は仮面ライダー映画が 10億円以上稼いだことも安心材料のようだ。
映画評論家の望月苑巳氏は「映画の中身で勝負するより、見た目で勝負するような作品が多いのが正月映画なのだが、例年は2つ、3つある大作がなかった。ただ、邦画、それも時代劇は頑張ったと思う」という。
チャンバラがない異色の「武士の家計簿」は約13億円、「最後の忠臣蔵」は約8億円。観客ターゲットを絞った作品では上々の成績だ。
「大作より小規模な作品にスポットが当たったのも特徴」と望月氏。その最たる例が単館公開で始まった「キック・アス」だ。全国4館でスタートしたが、渋 谷の劇場では2日間全回満席の大ヒットスタート。現在は13館に増え、最終的には興収1億円台が確実だ。「台湾の歓楽街を舞台にしたハードボイルドアク ションの『モンガに散る』など、久々に単館系の映画にファンが集まった」と都内のミニシアター関係者は話す。
期待を裏切った洋画も今月封切りの「ソーシャル・ネットワーク」がヒットスタートするなど個々の作品のポテンシャルは高い。次の稼ぎ時、春休み~GW興行に向け、映画界は盛り返しに向かう。
「こんなはずではなかった、というのが正直なところ」と都内のシネコン関係者ががっかりするのが、稼ぎ頭として期待された「ハリー・ポッターと死の秘宝 PARTI」の伸び悩み。興行収入70億円が近づき、十分、ヒットしているのだが、シリーズ最終章の前編であり、テレビのスポットCMを大量に投下して の結果だけに、配給関係者も少々浮かぬ顔だ。「目標の100億円は遠くなった。大人も十分楽しめる内容の濃さがウリだったのに、それがファミリー離れを招 いたのかな。3D化が間に合わなかったのも痛い」とベテラン評論家。
ハリポタはまだ健闘した方で、他の洋画大作は期待を大きく裏切った。
3D映画元年と呼ばれた2010年を締めくくる作品として期待された「トロン:レガシー」は、興収約20億円。リドリー・スコット監督とラッセル・クロ ウというヒット映画コンビの「ロビン・フッド」に至っては、興収約7億円と、ヒットの目安10億円台到達すら難しそうだ。
邦画は洋画に足を引っ張られた。鳴り物入りで封切られた木村拓哉主演の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、興収約38億円。「最初にぶち あげていた目標80億円は花火としても、映画会社側は『60億円は狙いたい』と思っていたようだ。最終的には40億円台になりそうで、損はないが、吹っ切 れない数字」と劇場関係者。波動砲も今ひとつ、破壊力がなかったようだ。
邦画の“隠れ本命”と呼ばれていた「相棒-劇場版II-」は、興収約24億円。第1作の約43億円を上回る可能性は低くなった。「それでも配給の東映は かなり満足。地方の客足はまだ衰えず、さらに上積みが期待できる。すでに第3作もゴーサインが出た」(ベテラン映画評論家)。東映は仮面ライダー映画が 10億円以上稼いだことも安心材料のようだ。
映画評論家の望月苑巳氏は「映画の中身で勝負するより、見た目で勝負するような作品が多いのが正月映画なのだが、例年は2つ、3つある大作がなかった。ただ、邦画、それも時代劇は頑張ったと思う」という。
チャンバラがない異色の「武士の家計簿」は約13億円、「最後の忠臣蔵」は約8億円。観客ターゲットを絞った作品では上々の成績だ。
「大作より小規模な作品にスポットが当たったのも特徴」と望月氏。その最たる例が単館公開で始まった「キック・アス」だ。全国4館でスタートしたが、渋 谷の劇場では2日間全回満席の大ヒットスタート。現在は13館に増え、最終的には興収1億円台が確実だ。「台湾の歓楽街を舞台にしたハードボイルドアク ションの『モンガに散る』など、久々に単館系の映画にファンが集まった」と都内のミニシアター関係者は話す。
期待を裏切った洋画も今月封切りの「ソーシャル・ネットワーク」がヒットスタートするなど個々の作品のポテンシャルは高い。次の稼ぎ時、春休み~GW興行に向け、映画界は盛り返しに向かう。