ぴあ映画生活より(以下一部抜粋)

>第34回日本アカデミー賞授賞式が18日、都内で開催され、中島哲也監督の『告白』が作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞の4部門で最優秀賞を獲得。李相日監 督の『悪人』が主演男女、助演男女の計4部門で。三池崇史監督『十三人の刺客』が撮影、照明、美術、録音の4部門で最優秀賞を獲得した。

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今年度は、興行的にも作品評的にも成功をおさめた作品がずらりと並び、派手さはないものの質の高い争いとなった日本アカデミー賞。特に注目は、地道なプロ モーションとクチコミによる評価でヒットにつながった『告白』と『悪人』が、どのように最優秀賞を分け合うか。蓋を開けてみれば、俳優部門を『悪人』が制 覇。一方で作品賞&監督賞を『告白』が持っていく結果となった。

最優秀賞を獲得した俳優のコメントで印象的だったのが、「しつこい監督だったので」を10回以上連発していた助演男優賞の柄本明や、最優秀は逃したものの 優秀賞を獲得した満島ひかりの「3日間かかってOKがやっと出ました」といった言葉。執拗なまでに納得のいく演技、シーンを追い続ける李相日監督の執念 が、俳優達の限界・最高の演技を引き出した結果と言えそうだ。

一方、『告白』は、「こんな映画に出たら、CMも減るだろうし何もいいことない。それでも出てくれた俳優に感謝」(中島監督)と語るように、興行的には難 しいはずの重いテーマの原作を、R-15指定を受けながらも大ヒットに結びつけた監督の手腕が評価された形。きれいに最優秀賞を分け合う結果となった。

両作品に共通するのは、製作委員会にテレビ局が入っておらず、大量宣伝が約束されていない中での作品の“質”で勝負をして成功をおさめた作品であるという こと。邦画が洋画の興行収入を上回ることもすっかり定着してきたが、日本映画が単に分かりやすさやプロモーションの成果だけではない“地力”も確実につけ ていることを感じさせる授賞式となった。



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