MovieWalkerより(以下一部抜粋)

>現地時間22日の5時で投票が締め切られ、後は27日に開催されるアカデミー賞授賞式を待つばかりとなった。今年も史実や実話に基づいた作品が有力だが、この度、ハリウッド・レポーター紙が同作品賞にノミネートされているノンフィクション作品の事実とは異なる点や、作品の非公開の事実を暴露した。


まずは作品賞の最有力候補といわれている『英国王のスピーチ』(2月26日公開)と『ソーシャル・ネットワーク』(公開中)。『英国王のスピーチ』は、吃音に悩まされていた実在のイギリス国王ジョージ6世を描いたものだが、イギリス系アメリカ人の作家クリストファー・ヒッチンズは、「イギリス皇室のアドルフ・ヒトラーへの感情表現に誤りがある。歴史の歪曲だ」と激しく非難している。それについて(第二次大戦中のナチスによる大虐殺を受けた)、ユダヤ人の子孫である脚本家のデヴィッド・サイドラーは、「そのような事実はない」と反論している。


『ソーシャル・ネットワーク』の主役でフェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグは、作品中で自分がよこしまで社会不適応者のように描かれていることに反論しているが、実際に孤独な一匹狼ではなく、ハーバード大学時代にできたガールフレンドのプリシラ・チャンと今でも交際している。


『127時間』(6月公開予定)の主役で実存する登山家のアロン・ラルストンは、ジェームズ・フランコが演じたアロンが、岩間にはまる前に、たまたま出会った女性ふたりを誘って岩の下にできたプールに飛び込んだ印象的なシーンについて、「峡谷には常に危険が潜んでいる(からそのようなことはしていない)」として事実を否定している。


『ザ・ファイター』(3月26日公開)のメリッサ・レオが演じた、名ボクサーのミッキー・ウォードの実の母親であるアリスは、作品中ではミッキーが優勝した試合でリング付近で猛烈に息子を応援しているが、実際にはリング周辺にはいなかったそうだ。それについてデヴィット・O・ラッセル監督は、「アリスがそこにいることが重要だった」と説明している。


また、上記の例とは異なるが、『ブラック・スワン』(5月13日公開)では、バレリーナに扮するナタリー・ポートマンが必死のダイエットとレッスンで一部のシーンを除いては全て自分で演じたように言われ、主演女優賞の呼び声も高いが、“ポル・ド・ブラ”のレッスンのシーンでは、デジタル修正でナタリーの顔と本物のバレエダンサーの身体を組み合わせていることは明かされていない。


真実を深く追求した作品は人々に与える感動も大きいが、エンターテインメントである以上は、ただ事実を並べれば良いというわけではなく、過去にも事実が一部歪められた形でできあがった作品が賞賛されている。賛否は分かれるだろうが、今年のアカデミー賞のノミネート作品は興行的にも好成績を収めており、ノンフィクションでもあくまで人が書いた脚本と思えば、より作品を楽しむことができるということを証明する結果となった。


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