俳優の渡辺謙(51)が、日本を代表するアニメ制作会社・スタジオジブリとタッグを組むことが3日、分かった。日本テレビ系ドキュメンタリー番組「スタ ジオジブリ物語」(21日・後9時)で総合ナビゲーターを務め、その魅力に迫る。ジブリ作品は海外でも人気で、ハリウッドで活躍中の渡辺は「日本人として 誇りに思います」。声優挑戦についても「もし自分にぴったりな役があれば、ぜひ」と意欲を見せた。

 世界の「Ken Watanabe」と、世界中で愛されるスタジオジブリが手を組んだ。「この仕事を引き受けたのは、ドキュメンタリーの内容、エピソー ドを知ったからです。どれだけ制作者の方々が心血を注いでいたか、どれだけの労力をかけたのか、などをうかがって、ぜひ、それを紹介したいと思いました」 と渡辺。番組で舞台裏に鋭く迫っていく。

 自身も、もちろんジブリ作品のファン。「魅力? 作品のストーリーが予定調和で終わらない、というところでしょうか。『人生は思った通りにいかない』という微妙な部分まで繊細に描かれています。だからこそ、子どもだけでなく大人も楽しめるんですね」と分析した。

 ジブリが世界で人気を集めているのは、肌で感じている。ハリウッド映画の撮影現場でも「Princess Mononoke」(もののけ姫)や 「Spirited Away」(千と千尋の神隠し)が話題になったという。「実際のところ、今、日本映画で海外の人に見られている作品はなかなかないの が現状です。そんな中で、ジブリ作品は皆がよく知っている。それだけ、他のアニメにはないクオリティーがあるということです。それを日本人として誇りに思 います」。こう言葉に力を込めた。

 番組では、宮崎駿監督や高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーの挑戦や苦悩が秘蔵映像とともに紹介される。大のジブリファンという女優・蒼井優もナビゲー ターを担当。渡辺の情熱的なナビゲートぶりに、同局の岩間玄プロデューサーは「我々スタッフも完全に圧倒されました。さすが『一流は一流を知る』というこ となのですね」と振り返った。

 今後は作品での夢のタッグに期待がかかる。渡辺は声優挑戦に「作品の質を壊さないようであれば、ぜひ、お引き受けしたいです。つまり、もし自分にぴったりな役があれば、ぜひ」と前向きだ。ジブリ作品に渡辺の声が加われば「鬼に金棒」になるだろう。

 約30年の俳優キャリアを持つ渡辺だが、過去にアニメの声優を務めたことはない。映画の吹き替え経験はあり、1985年に日テレ系金曜ロードショー枠で 放送された「ランボー」でシルベスター・スタローンを担当。昨年公開のハリウッド映画「インセプション」では、英語で演じた「サイトー」役を自ら日本語で 吹き替えた。ジブリ作品で初のアニメ“出演”となるか。

 ◆スタジオジブリ 1985年設立。アニメーションを中心とした映像作品の企画、制作を手掛ける。2001年公開の「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督) は2350万人を動員。興収304億円は日本の映画興行成績第1位。主な作品に「ハウルの動く城」「もののけ姫」「崖の上のポニョ」などがある。最新作と して「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督、今夏公開)が控えている。