> 東日本大震災に伴う被災地や首都圏などでの生活必需品の不足に対応するため、メーカー各社が生産体制を強化している。スーパーやコンビニで買いだめが広がり、食品や乾電池、トイレットペーパーなどの品薄が続くが、家庭紙や紙おむつメーカーなどは「十分な量の供給を続けている」として、消費者に冷静な対応を呼び掛けている。

 食品大手は、非常食として需要が急増している製品を増産。ハウス食品や大塚食品はレトルトカレーの定番商品を集中生産しているが、「通常の数倍の注文が入っている」(大塚食品)という。

 大塚製薬は栄養食品の「カロリーメイト」や「ソイジョイ」がフル生産の状態。カロリーメイトは最も賞味期限が長いチョコレート味に生産を絞り、非常食用のニーズに対応している。アサヒ飲料も、ミネラルウオーターやお茶製品の供給を当面優先するため、コーヒー飲料など新商品の発売を見合わせた。

 日用品では、花王が愛媛工場で紙おむつや生理用品の生産ラインをフル稼働に移行。小売店からの注文が通常の2~3倍に急増し、「被災地向けの出荷を急ぐためにも増産が必要」という。ユニ・チャームも、紙おむつや生理用品を製造する2工場を24時間体制で稼働。王子製紙、日本製紙、大王製紙もトイレットペーパーやティッシュペーパーをフル生産している。

 パナソニックや日立マクセルは、停電などに備える買いだめで品不足が続く乾電池の供給力を強化。パナソニックは国内工場での増産に加え、インドネシアやタイ、中国など海外工場からの輸入も増やし、必要な供給量を確保する方針だ。携帯電話用の充電器メーカーでも増産の動きがある。また、岩谷産業は被災地でも使えるカセットこんろ用のカセットボンベ増産を決定、部品調達を急いでいる。