読売新聞
3月20日(日)18時53分配信
放射性物質による食品や水道水への影響や注意点についてまとめた。Q 付着した食品を摂取するとどうなる?
放射性物質が、食べ物や水から口に入ると、体内にとどまって放射線を出し続ける。今回検出された放射性ヨウ素131は8日たつと放射線の量が半分に、16日後には4分の1としだいに減り、土壌には長く残らない。放射性セシウム137は、放射線の量が半分になるのに30年かかり、土壌に長くとどまって農産物に影響を与える。ただし、体内に入っても多くは排出される。
Q 摂取の基準値にはどういう意味がある?
笠井篤・元日本原子力研究所研究室長によると、放射性物質を含む牛乳や乳製品を1日1リットル、水を1日2リットル、葉もの野菜を1日100グラムなどについて、それぞれすべてを1年間毎日飲んだり食べたりし続けた時に、発がんなど健康に害が出る放射線量を計算したものだ。1回か2回、誤って飲食したくらいでは問題はない。
Q 放射性物質はどうやって付着した?
学習院大学の村松康行教授(放射化学)によると、放射性ヨウ素と放射性セシウムは風で運ばれ、ホウレンソウなど葉の大きいものほど付きやすい。キャベツは、外側には付くが中には入りにくい。野菜は水でよく洗えば、ある程度は濃度が薄まる。キャベツなどは外側の葉を取ってから水洗いするといい。
放射性物質は土の表層にとどまりやすく、短期的には大根などの根菜類への影響は少ない。原乳からの検出は、乳牛が餌や飲み水から摂取した可能性がある。
Q 今回の検査はどうやって行われたの?
米、野菜、牛乳、魚介類など、自治体ごとに主要産品を中心に調べる。茨城県の場合、原発に比較的近い県北部や出荷量が多い地域を選んで検査を行った。
厚生労働省は、野菜について、口に入れる前の状態に近づけるため洗ってから検査するよう求めている。
Q 子どもへの影響は
A 子どもは大人より放射線の影響を受けやすい。鈴木元(げん)・国際医療福祉大教授によると、大人では体内に入ったヨウ素の約7%が甲状腺にたまるが、残りは24時間以内に排出される。一方、子どもは約20%が甲状腺にたまってしまう。
ただし、基準は、子どもが摂取を続けても問題がない結果を基に作られている。鈴木教授は「基準値以下なら、子どもでもまず問題はない」と話す。
Q 食べ物や水の規制では「ベクレル」という単位が用いられるが。
A 人体に影響する放射線がどの程度、空間にとんでいるかは「シーベルト」で表す。これに対し、「ベクレル」は、放射線を出す物質がどれぐらい含まれているかを表す単位だ。たとえば、放射性ヨウ素131を食物で摂取した時の影響は、ベクレルの値に、10万分の2・2をかけ、セシウム137は10万分の1・3をかけるとミリ・シーベルトに換算できる。