http://www.asahi.com/special/10005/OSK201103260148.html

より(以下一部抜粋)


 震災や原発事故におびえ、悲しい思いをしている子どもたちに向け、絵本の主人公ミッフィー(うさこちゃん)のイラストとメッセージが26日に届いた。作者のディック・ブルーナさん(83)がオランダから、朝日新聞あてに電子メールで送ってくれた。


 あまり泣かない子うさぎが大粒の涙を流している。しかも2粒も。あえて色はつけなかったという。鉛筆で力を込めて「日本のみなさまへ思いを込めて ディック・ブルーナ」。簡素なイラストとメッセージのなかに、ブルーナさんの深い悲しみと優しさが感じられる。


 よく似た絵柄はこれまでの絵本に発表されているが、本社記者の呼びかけに応じて新しくかいてくれた。


 「被災地の子どもたちに必要なのは、食べもの、暖かいストーブ、そして夢と希望です。あなたのイラストで、子どもたちに希望を与えて下さい」と頼むと、すぐに「わかりました。心をこめてかきましょう。しばらく時間を下さい」と返事をくれた。


 ブルーナさんはオランダを代表するグラフィックデザイナーで絵本作家。「うさこちゃん」を中心に50以上の言語に翻訳されている。とりわけ日本との縁は深い。世界で最も早く翻訳されて1964年に出版された。自身も78年に初めて日本を訪れ、その後も訪問を重ねた知日家だ。


 96年には家族との死別をテーマに絵本「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」を発表しており、その絵本でも涙を2粒描いた。「愛する人との別れは悲しいことです。でも『あなたの人生はこれからも続いていくんだよ』と伝えたかったのです」と、涙のわけを語っていた。


 今回も2粒の涙で、ブルーナさんは日本の子どもたちに寄り添っている。

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 オランダでは4月1日にアムステルダム郊外で、震災救援のコンサートが開かれる。そのポスターにもブルーナさんはイラストを提供した。