ロンドン・レズビアン&ゲイ映画祭でバルカン半島からの移民青年によるカミングアウト物語特別上映

シネマトゥデイより(以下一部抜粋)

>現地時間4月5日、第25回ロンドン・レズビアン&ゲイ映画祭で映画『サシャ(英題)/Sasha』の特別上映会が開催され、デニス・トロヴィッチ監督が登壇した。

 本映画祭で、すでに2度の上映を終えている本作の3度目となった特別上映は、インターバンクLGBTフォーラムに参加する企業がスポンサーとなり開催された。インターバンクLGBTフォーラムとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の人たちが働きやすい職場環境を作るなど、LGBTの人権を確立するため、世界的な銀行などが協力するもの。バンクオブアメリカ・メリルリンチや野村グループなどがメンバーとなっている。

 本作は、かつてのユーゴスラビアからドイツに移り住んだ家族の長男、サシャが同性愛者であることを周囲にカミングアウトするまでの物語。各国の映画祭で好評を博し、現在はドイツで公開中だ。トロヴィッチ監督が「ドイツ語のほか、バルカン半島の国々の言葉や、中国語まで混じります」と紹介するように、本作にはドイツを舞台に様々な国からの移民が登場する。ドイツにいながら出身国の言葉を使う人、家族との会話もドイツ語の人など、話す言葉にさえ移民それぞれの実感がにじむ。複雑な変遷をたどり消滅してしまったユーゴスラビアはじめ、バルカン半島の国々の歴史も透けて見えるようだ。自分の夢を息子に託す母、今は無きユーゴスラビアへの望郷の念が消えない父など、家族の思いも描かれながらも、テンポよく笑いのうちに物語は進んでいく。最後にはカミングアウトを通して成長した主人公とともに明るい気持ちになれる佳品だ