被災地で野生化するペットたち…水がなく死ぬうさぎ、にわとりを食べて生き延びる犬…『被災地からの報告(仮題)』を上映
シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)> 10日、東京のヤマナシヘムスロイド表参道で開催された、映画『犬と猫と人間と』トークショーに、飯田基晴監督、動物愛護団体ミグノン代表の友森玲子氏、映像作家の宍戸大裕氏が出席し、被災地で野生化しているペットの現状について報告した。
映画『あしがらさん』の飯田基晴監督の最新作となる『犬と猫と人間と』は2009年の10月に上映されるや、保健所でのペットの殺処分など、日本のペッ トの厳しい現状を訴えかけ、大きな反響を呼んだ。今回のトークショーは、ギャラリーのヤマナシヘムスロイドで26日まで行われている、東日本大震災の被災 地で動物たちの救援活動を行うボランティアグループの写真展示報告「被災動物ドキュメント」の一環として行われ、被災地の動物事情について、さまざまな報 告がなされていた。
イベント内では映像作家の宍戸大裕氏によるドキュメンタリー『被災地からの報告(仮題)』を上映。自身も宮城県出身である宍戸氏は、石巻で活動するアニ マルクラブ石巻という動物愛護団体に密着。被災地で放置され、野生化したペットたちを保護する姿を映し出している。さらに映像には、4月23日に立ち入り 禁止区域に指定された、福島第一原発20キロ圏内の保護活動にも密着している。その中で、目の前に被害があるという状況を目の当たりにした宍戸氏は、映像 作家としてカメラを回すか、それとも人間として目の前の被害者を助けるか、という選択に迫られたという。「とても何かをせずにはいられない状況があったん です。だからカメラを撮るだけという気持ちにはなれなかった」と当時を述懐。また、動物の保護活動に携わる人は、アニマルクラブ石巻代表の阿部智子さんな ど、女性が多かったことに触れて、「本当に一本気でまっすぐな女性が多いのに感心してしまいます」と女性たちのパワフルさにも舌を巻いている様子だった。
そんなパワフルな女性たちの代表格とも言えるのが、動物愛護団体ミグノン代表の友森玲子氏だ。彼女は被災地での動物の保護活動について報告。友森氏が実 際に保護した動物の数は、犬、猫、うさぎ、鳥など全部で130匹以上に上るとのこと。現地に入ったときには、うさぎは水がなくて死亡。犬はにわとりを食べ て生きながらえていたような状況だったという。「これから暑くなると、生命力が弱い動物は水がなくなって死んでしまうケースも増えてきます。もう少し民間 と行政が手を取り合わなければいけません。早く保護を進めるようにしないと」と警告していた。
東日本大震災という未曾有の被害を目の当たりにして、何か大きな助けをしなければ……と考える人も多かった。しかし友森氏はもっと気軽にボランティアに かかわるべきだと主張する。「皆さん、大金を出さなきゃとか、犬をあずからなきゃ、というような勢いで来るとだいたい続きません。保護した動物も、飼い主 のもとに戻れるのはおそらく1割か2割程度でしょう。今は大変そうだから大金を寄付するよ、なんてやっていると数か月で息絶えます。それよりも毎月500 円ずつ寄付してもらえる方が本当に助かります」と現状を報告した。(編集部・壬生智裕)
里親会などが催されるイベント「犬猫ものがたり4」は6月9日から26日までヤマナシヘムスロイド表参道にて開催中