Movie Walkerより(以下一部抜粋)

>突如来襲した謎の地球外生命体により、地球が征服されるまでの最後の3日間を描いたSFパニック『スカイライン 征服』(6月18日公開)。人類を救う救世主的存在が登場せず、立ち向かう術もなく、ただ危機的状況を眺めるしかない一市民の視点を中心に物語が進行する ため、かつてないほどのリアリティと緊張感が漂う異色映画だが、本作には、あるヒットの方程式が隠されている。

【写真】製作費を抑えるため、合成シーンを減らすなどの工夫も行われた

作品の一番の見どころは、もちろん派手な視覚効果だろう。本作を手がけたVFXチーム、ハイドラックスは、これまで『デイ・アフター・トゥモ ロー』(04)、『300(スリーハンドレッド)』(07)、『地球が静止する日』(08)、『2012』(09)、『アバター』(09)といった、圧巻 のスペクタクルシーンが売りの、ビッグタイトルの革新的な映像を生み出し続けてきた名スタジオだ。今回、最新の映像技術を投入して作り上げた視覚効果は驚 異的で、最新鋭兵器で攻撃を仕掛ける軍と飛行物体との空中戦は『インデペンデンス・デイ』(96)、強大な力で街が破壊されていく様は『宇宙戦 争』(05)など、異星人による地球侵略を描いた超大作級のスケール感を彷彿とさせる。

そして、本作が数多の王道のSFパニック映画と一線を画しているのが、設定の妙だ。高層マンションのペントハウスに隠れた主人公たちが窓の外で起きている 侵略劇を目撃する形式は、一種の密室劇となっている。逃げ出したいのに逃げ場がない、何かが起こっているのに全貌を把握することができない。閉じ込めら れ、もどかしさを抱えたまま恐怖が忍び寄る様は、パニックアクションというよりもスリラー映画に近いのだ。

さらに、迫力のVFXからは想像できないが、意外なほど低予算で仕上げられている点にも注目したい。明らかにされていないが、本作の製作費はおそよ 1000万ドル(10億円)程度のようで、『インデペンデンス・デイ』の7500万ドル(約70億円)や『アバター』の2億3700万ドル(約230億 円)、低予算SF作品として高い評価を受けた『第9地区』の3000万ドル(約30億円)と比較しても、その低さが際立っている。これは、メジャースタジ オを通さないインディペンデントのスタイルで製作されたことと、数多くの大作を手がけたVFXのノウハウを持っているスタジオであるからこそ実現したもの だ。メジャーの干渉を受けず、コストを抑えて自由にものづくりをしている点は、前述のスリラーチックなテイストと併せて『パラノーマル・アクティビ ティ』(10)の革新性を想起させる。

王道にも劣らない壮大なテーマを扱いつつ、インディペンデントな志を忘れていない本作。細部にまでこだわり抜かれた衝撃的な新機軸のSF映画の誕生を、是非目撃してほしい。


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