Movie Walkerより(以下一部抜粋)
>いよいよ公開を明日に控えた『SUPER 8』(6月24日公開)。スティーブン・スピルバーグとJ.J.エイブラムスがタッグを組んだことでも大きな話題となっているが、一足早く公開された全米でも初登場で興行収入No.1を獲得し、日本でも期待が日に日に高まっている。そんななか、J・J・エイブラムス監督にインタビューが届いた。
【写真】子役たちに演技指導を行うエイブラムス監督
――スティーブン・スピルバーグの初対面での印象はどうでしたか?
「僕が会った人間の中で誰よりもエネルギッシュだった。同時にたくさんのことに集中できるし、アイデアを次から次へと出してくる。例え一つのアイデアがうまく着地しなくても『じゃあ次に行ってみようか!』みたいな感じになるんだ。クリエイティブなアイデアを無尽蔵に持っていて、その伝え方も知っている人物だ。濃厚な共同作業だったし、わくわくする経験だったよ」
――スピルバーグとの仕事はどのようなものでしたか?
「彼はストーリー作りや脚本作りを手助けしてくれたし、その日撮影したものを一緒に見たり、キャスティングに関して意見を言ってくれたりと、全ての段階で関わってくれた。とにかくいつでも彼にアドバイスを求めることができたというのが最高の環境だった。この映画のスピリット、アンブリン映画(※)に宿るスピリットが、彼も僕も大好きなんだ。こういう映画を彼と一緒に作れたことは素晴らしい経験だよ」
――公開までストーリーの詳細を秘密にしていた理由は?
「何もかも秘密にしておきたいわけではないけれど、観客が映画を見に行く楽しみを台無しにしたくないんだ。『ああ、もうこの映画は全部見たようなものだな』って思わせるような、全て見せてしまっている予告編がよくあるよね。僕は1979年当時と同じように映画を扱うことが重要だと思ったんだ。つまり、当時の映画にはサプライズの要素があった。テレビや雑誌、そしてもちろんネット上で、あらかじめ映画の全てを知ってしまうなんてことはなかったからね。当時はそういう手立てがなかった。だから僕は、観客の好奇心をそそりつつ、既に映画を見たような気分にさせないようにしたいと思っているんだ」
――この作品には監督の子供時代のことが多く反映されていますか?
「そうだね。自分の子供時代を再訪したいという思いにインスパイアされていた。だからもともと自伝的な要素のあるアイデアだった。もちろん、その後の非現実的な世界は僕が実際に経験したものではないけれどね。ストーリーのアイデア自体は、当時8mm映画の撮影をしていた子供たちのことを語りたいという気持ちから生まれたものだよ」
――映画の中であなた自身が投影されているキャラクターは?
「一番共感するのは主人公のジョーだけれど、あのキャラクターそのままというわけじゃない。少年たち全員に少しずつ自分の姿が投影されているのかもしれないね。だけど、やっぱり映画監督役のチャールズが本命だね。僕は野球に誘われるような子供でもなかったし、外で他の子と一緒にスポーツをやるような子供でもなかった。少年時代の大半を映画作りに逃避していたんだ」
――モンスターは普通、侵略するだけの存在ですが、この映画ではそうではありませんでした。その理由は何ですか?
「僕らは、ただ単に街の中を歩き回って破壊行為を繰り返すモンスターにはしたくなかった。僕はこの世のものではないモンスターが出てくるストーリーが大好きだ。ただしストーリーにとって意味のあるものでなければならない。今回もモンスターは作品のハートの部分に複雑に結びついているんだ。
――『スーパーエイト』はどういう作品であると言えますか?
「僕の好きな映画が全て一つになったような作品だよ。ラブストーリーでもあり、ドラマでもあり、コメディ、青春、アドベンチャー、モンスター、その全てが混じり合っている。アンブリン作品の特徴だね。アンブリン社の作品やそれ以前の作品には、『未知との遭遇』『ポルターガイスト』『E.T.』など、感情のこもったアクションや恐怖、アドベンチャーがあった。全てがそこにそろっていたんだ。スピルバーグと映画を製作することで、アンブリン映画が愛される理由である要素を心置きなく取り入れることができて嬉しかったよ」
――主人公ジョーのように、少年を主役に持ってくることの効果はどのようなものでしょうか?
「主役のジョーを演じているジョエル・コートニーも、チャールズ役のライリー・グリフィスも、映画の現場は初体験で、撮影に慣れるまで数日は必要だったけれど、驚くほどよくやってくれたよ。天真爛漫な少年たちを起用することは、非日常的な出来事が起きる映画では特に、主人公たちの経験を観客が追体験することを可能にするんだ」
――ヒロイン役のエル・ファニングとの撮影はどうでしたか?
「僕から見ると、エルがいる時といない時では男の子たちの雰囲気が微妙に違ったよ(笑)。アリスのようなしっかりとした子の役は、演じる側にも内面的な強さがないと演じられない。エルは自信もあるし冷静だ。まだたったの12歳だけれど、もっと大人びている。それが良いんだよ」
――最後に『スーパーエイト』のテーマは?
「『希望』だね。『たとえ最悪の時にあっても前進し、生き抜く道がある』というのが主なテーマだね」
全米公開前まで本作は情報が限りなく少なく、多くの方がどんな映画なのか予想したことだろう。今回、インタビューでエイブラムス監督が語っているように、本作はハートあふれる作品であり、子供たちの成長の物語であり、どんな最悪な出来事があってもそれを乗り越えて希望を見出すことができる。そんな作品だ。是非とも【Movie Walker】
(※)アンブリン・エンターテインメントはスピルバーグが設立した映画製作会社で、アンブリン映画と言う際には、『E.T.』や『グーニーズ』など1980年代に同スタジオにて製作された映画を指す場合が多い
>いよいよ公開を明日に控えた『SUPER 8』(6月24日公開)。スティーブン・スピルバーグとJ.J.エイブラムスがタッグを組んだことでも大きな話題となっているが、一足早く公開された全米でも初登場で興行収入No.1を獲得し、日本でも期待が日に日に高まっている。そんななか、J・J・エイブラムス監督にインタビューが届いた。
【写真】子役たちに演技指導を行うエイブラムス監督
――スティーブン・スピルバーグの初対面での印象はどうでしたか?
「僕が会った人間の中で誰よりもエネルギッシュだった。同時にたくさんのことに集中できるし、アイデアを次から次へと出してくる。例え一つのアイデアがうまく着地しなくても『じゃあ次に行ってみようか!』みたいな感じになるんだ。クリエイティブなアイデアを無尽蔵に持っていて、その伝え方も知っている人物だ。濃厚な共同作業だったし、わくわくする経験だったよ」
――スピルバーグとの仕事はどのようなものでしたか?
「彼はストーリー作りや脚本作りを手助けしてくれたし、その日撮影したものを一緒に見たり、キャスティングに関して意見を言ってくれたりと、全ての段階で関わってくれた。とにかくいつでも彼にアドバイスを求めることができたというのが最高の環境だった。この映画のスピリット、アンブリン映画(※)に宿るスピリットが、彼も僕も大好きなんだ。こういう映画を彼と一緒に作れたことは素晴らしい経験だよ」
――公開までストーリーの詳細を秘密にしていた理由は?
「何もかも秘密にしておきたいわけではないけれど、観客が映画を見に行く楽しみを台無しにしたくないんだ。『ああ、もうこの映画は全部見たようなものだな』って思わせるような、全て見せてしまっている予告編がよくあるよね。僕は1979年当時と同じように映画を扱うことが重要だと思ったんだ。つまり、当時の映画にはサプライズの要素があった。テレビや雑誌、そしてもちろんネット上で、あらかじめ映画の全てを知ってしまうなんてことはなかったからね。当時はそういう手立てがなかった。だから僕は、観客の好奇心をそそりつつ、既に映画を見たような気分にさせないようにしたいと思っているんだ」
――この作品には監督の子供時代のことが多く反映されていますか?
「そうだね。自分の子供時代を再訪したいという思いにインスパイアされていた。だからもともと自伝的な要素のあるアイデアだった。もちろん、その後の非現実的な世界は僕が実際に経験したものではないけれどね。ストーリーのアイデア自体は、当時8mm映画の撮影をしていた子供たちのことを語りたいという気持ちから生まれたものだよ」
――映画の中であなた自身が投影されているキャラクターは?
「一番共感するのは主人公のジョーだけれど、あのキャラクターそのままというわけじゃない。少年たち全員に少しずつ自分の姿が投影されているのかもしれないね。だけど、やっぱり映画監督役のチャールズが本命だね。僕は野球に誘われるような子供でもなかったし、外で他の子と一緒にスポーツをやるような子供でもなかった。少年時代の大半を映画作りに逃避していたんだ」
――モンスターは普通、侵略するだけの存在ですが、この映画ではそうではありませんでした。その理由は何ですか?
「僕らは、ただ単に街の中を歩き回って破壊行為を繰り返すモンスターにはしたくなかった。僕はこの世のものではないモンスターが出てくるストーリーが大好きだ。ただしストーリーにとって意味のあるものでなければならない。今回もモンスターは作品のハートの部分に複雑に結びついているんだ。
――『スーパーエイト』はどういう作品であると言えますか?
「僕の好きな映画が全て一つになったような作品だよ。ラブストーリーでもあり、ドラマでもあり、コメディ、青春、アドベンチャー、モンスター、その全てが混じり合っている。アンブリン作品の特徴だね。アンブリン社の作品やそれ以前の作品には、『未知との遭遇』『ポルターガイスト』『E.T.』など、感情のこもったアクションや恐怖、アドベンチャーがあった。全てがそこにそろっていたんだ。スピルバーグと映画を製作することで、アンブリン映画が愛される理由である要素を心置きなく取り入れることができて嬉しかったよ」
――主人公ジョーのように、少年を主役に持ってくることの効果はどのようなものでしょうか?
「主役のジョーを演じているジョエル・コートニーも、チャールズ役のライリー・グリフィスも、映画の現場は初体験で、撮影に慣れるまで数日は必要だったけれど、驚くほどよくやってくれたよ。天真爛漫な少年たちを起用することは、非日常的な出来事が起きる映画では特に、主人公たちの経験を観客が追体験することを可能にするんだ」
――ヒロイン役のエル・ファニングとの撮影はどうでしたか?
「僕から見ると、エルがいる時といない時では男の子たちの雰囲気が微妙に違ったよ(笑)。アリスのようなしっかりとした子の役は、演じる側にも内面的な強さがないと演じられない。エルは自信もあるし冷静だ。まだたったの12歳だけれど、もっと大人びている。それが良いんだよ」
――最後に『スーパーエイト』のテーマは?
「『希望』だね。『たとえ最悪の時にあっても前進し、生き抜く道がある』というのが主なテーマだね」
全米公開前まで本作は情報が限りなく少なく、多くの方がどんな映画なのか予想したことだろう。今回、インタビューでエイブラムス監督が語っているように、本作はハートあふれる作品であり、子供たちの成長の物語であり、どんな最悪な出来事があってもそれを乗り越えて希望を見出すことができる。そんな作品だ。是非とも【Movie Walker】
(※)アンブリン・エンターテインメントはスピルバーグが設立した映画製作会社で、アンブリン映画と言う際には、『E.T.』や『グーニーズ』など1980年代に同スタジオにて製作された映画を指す場合が多い