産経新聞より(以下一部抜粋)

>映画スターが来ない…。長引く福島第1原発事故の影響で、欧米から映画の公開に合わせた大物スターや監督の来日が3月中旬以降、ばったりと絶えた。映画 ファンはスターを招いたイベントが開かれないことを寂しがり、映画業界では「宣伝が盛り上がらない」と頭を抱えている。(岡本耕治)

 「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(15日公開)は、2001年公開の第1作以来、10年続いたシリーズの完結編。前評判も良く、ダニエル・ ラドクリフ(21)、ルパート・グリント(22)、エマ・ワトソン(21)の主演3人の英国俳優が来日し、大々的に完成披露試写などのイベントが展開され ると予想された。

 しかし、今回は「多忙」を理由に、3人はおろか、デビッド・イエーツ監督の来日もない。第2作以降は3人のうち1人は必ず来日していただけに、「フィナーレにしては寂しい」という声は多い。

 ある宣伝マンは「相次いでいる来日キャンセルの理由は、先方は明言しないが原発事故。本人が行きたがっても、周囲が止めるらしい。気持ちは分かるが…」とため息をつく。

 洋画の大作の場合、テレビや新聞、雑誌のインタビューを通じてスターの姿と映像を大量に露出させ、“盛り上がり感”を演出するのが恒例だ。昨年はレオナ ルド・ディカプリオ(36)、アンジェリーナ・ジョリー(36)、キャメロン・ディアス(38)、ジュリア・ロバーツ(43)ら米俳優陣が来日した。

 しかし、今年は3月5日公開の「ツーリスト」で米俳優、ジョニー・デップ(48)が来日して以降、大震災後は「ブラック・スワン」「パイレーツ・オブ・ カリビアン 生命の泉」「X-MEN ファースト・ジェネレーション」など、スターが来ないまま公開となる映画ばかりが続く。

 ある関係者は「本国に来日を打診しても、沈黙したまま返事がこない場合もある。これでは説得もできない」と嘆く。

 映画業界ではテレビCMを増やし、ライター数十人を海外取材に招くなどして宣伝活動を行っている。しかし、「今ひとつ盛り上がりが出ない。誰か大物が来日してくれれば突破口になるのに…」と業界関係者は口をそろえる。

 そんな中で期待を集めるのが、12月に「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」が公開される米俳優、トム・クルーズ(49)だ。「大の親 日家だし、客観的な分析ができる人。ここで来日すれば男が上がって興行にもいい影響が出る、と判断して来日するのでは」と関係者。

 また、別の宣伝マンは「『こういう時期だけれど、僕はいくよ』と言ってくれる人も少しずつ出てきた。悲観はしていない」と希望をつないでいる。