>お笑いコンビ、ダウンタウンの松本人志(47)が11日夜(日本時間12日)、「第64回ロカルノ国際映画祭」に 初参加した。過去2作の監督作「大日本人」、「しんぼる」を上映する特集企画「松本シネマ」で舞台あいさつ。現地のイタリア語で「オッティモ~(最 高)!」と叫び、欧州ファンを大爆笑させた。スイス人ファンにサインをせがまれ「映画は海を渡ると実感できた」と感激した。

 緊張した表情で晴れ舞台に登壇した松本監督を待っていたのは、観客の拍手と指笛だった。

 想像以上の歓待に応え、現地のイタリア語で最高を意味する「オッティモ」を連発する芸人魂を発揮。「ロカルノ、オッティモ。ロレックス、オッティモ。 ウィリアム・テル、オッティモ…」とスイスが誇る時計や伝説の人物を大声で称賛すると、上映会場「ラ・サラ」に集まった600人は大爆笑だ。

 ラストを「『大日本人』、『しんぼる』、オッティモ、オッティモ~!」と締めると、会場から「オッティモ」コールが返され。松本監督は「グラッチェ(ありがとう)」と両手を上げた。

 海外の映画祭参加は「大日本人」(07年)のカンヌ、「しんぼる」(09年)の韓国・釜山に続き3度目。だが、スイスからの招待状は特別だ。同2作を上 映した「松本シネマ」はロカルノで初となる日本人監督の単独特集企画であり、同12日に新作「さや侍」が、映画祭の目玉と言われる8000人収容の野外大 広場「ピアッツァ・グランデ」の縦14メートル、横26メートルの世界最大スクリーンで上映される。キャリア3作にして笑いと風刺が融合するオリジナリ ティーが評価され、全作公開となったからだ。

 笑いがたえなかった2作の上映の観客の様子を聞いた松本監督は「僕は映画の常識が分かってないので、そのへんが新鮮に見えるんじゃないかな」と分析。日 本では公開のたびに賛否両論に分かれたが、独自の世界を貫いてきた日々に「大変やったけど、よかった」としみじみ振り返った。

 「しんぼる」の大ファンでジュネーブから駆けつけた男子大学生が、舞台あいさつ直後に監督に駆け寄る場面も。サインに快く応じ「完全に刺されるかと思った」とジョークをまじえ喜んだ。

 「さや侍」の野外上映を翌日に控え、奇才のテンションはヒートアップ。「もしかしたら明日が(監督人生で)一番の思い出になるかも。8000人のポカーンになったら、地獄ですけど(笑)」と未知なる体験に胸を高鳴らせていた。