映画.comより(以下一部抜粋)

>日本映画の黄金期をけん引してきた名優・高倉健が、降旗康男監督の最新作「あなたへ」主演で6年ぶりに銀幕復帰を果たすことがわかった。高倉にとっては通 算205本目の映画出演、「駅 STATION」「夜叉」「あ・うん」「鉄道員」など名作を生み出してきた降旗監督とタッグを組むのは19本目となる。

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 日中合作「単騎、千里を走る。」(2006)に主演以来、映画界から遠ざかっていた高倉が、いよいよ始動する。復帰作となる「あなたへ」は、「夜叉」 「あ・うん」のプロデューサーで08年に死去した市古聖智さんが遺した原案を、降旗監督と脚本家の青島武が再構築したオリジナルストーリー。大切な人との 愛を確かめるロードムービーで、日本各地の風光明媚(めいび)なロケ地での撮影を敢行する。

 高倉は昨秋にオファーを受け、今春から打ち合わせに参加するなど具体的に動き出したという。出演に際し、「この物語に出会い、心が動きました。人が人を 思いやること、生きることのせつなさを思いました。降旗監督とご一緒できることも、6年ぶりの映画出演となる大きなきっかけです。スクリーンで皆さまにお 会いできるのを楽しみにしております」とコメントを寄せた。

 プロデューサーを務める市川南氏は、高倉の復帰について「久しぶりの映画出演を決めた理由のひとつには、降旗監督があるように思います。高倉さんは、降 旗監督との仕事を、今の俳優さんたちに1本でも多く経験させたいと思っていらっしゃるようです」と説明。それだけに、最終調整中ではあるものの、高倉とは 初共演となる顔ぶれも含まれているという。

 今作で高倉が演じるのは、北陸にある刑務所の指導技官・倉島英二。生涯独身を貫くと思っていた周囲の予想に反し、50歳を前に刑務所へ慰問に来た歌手の 洋子と結婚する。平穏で幸せな結婚生活は、洋子が53歳の若さで他界し、あっけなく終わってしまう。英二は“故郷の海に散骨してほしい”と記された妻から の絵手紙を受け取る。「なぜ、生きているうちに言わなかったのだろう」。15年間連れ添った妻の真意を知るため、一緒に日本を旅するはずだった自家製キャ ンピングカーに乗り、九州へと出発する。

 総距離1200キロの道中、高倉扮する英二はさまざまな人と心を通わせていく。市川プロデューサーは、「北陸から九州へ向けての旅で出会う、国語教師やイカ飯売りの凸凹コンビらとのシーンでは、高倉さんのコミカルな演技も見られるかと思います」と話している。

 「網走番外地」シリーズ、「日本侠客伝」シリーズ、「飢餓海峡」「幸福の黄色いハンカチ」「居酒屋兆治」……。燦然(さんぜん)と輝く作品群にいま、新 たな1ページが加わろうとしている。日本中の映画ファンが9月7日のクランクインを心待ちにし、高倉の一挙手一投足に大きな期待を寄せている。撮了は11 月中旬を予定。

 「あなたへ」は、2012年秋に全国で公開。