Movie Walkerより(以下一部抜粋)

>ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)の大ヒットを皮切りに、一躍脚光を浴びた低予算ホラー映画。有名監督や脚本家の起用、ハリウッドスターの共演、 壮大な海外ロケーションやCG映像などのために巨額の製作費が投入された作品でなければ、世界的な興行収入が見込めないという固定概念を見事に打ち砕いた ジャンルとして、20世紀末のアメリカ映画界に大輪の花を咲かせたのは誰もが知るところ。その流れは今も脈々と受け継がれ、『ソウ』(04)や『パラノー マル・アクティビティ』(07)といった人気シリーズが次々と生まれている。

【写真】「ホラーは不況に強い」ことからも、ハリウッドでは低予算で高利益を生むホラーが歓迎される

ほぼ無名のスタッフ&キャストながら、人間が持つ根源的な恐怖感を煽るストーリーと演出で、観客を作品世界へと引きずり込む低予算ホラー映画は、現在、映 画製作に関わる全ての人間にメリットを与えると言っても過言ではないだろう。何しろ、監督などのスタッフ自身やその友人たち、そして駆け出しの俳優を起用 するために出演料は格安にすむ。作品の舞台は夜の森や実在する倉庫のため、大規模なスタジオセットや長期ロケなどとも無縁。ハンディカムによる映像は、リ アリティのある演出として観客に好意的に受け止められ、作品の評判はネットを介して海外へダイレクトに伝わり、世界各国で公開されるのも、今の時代では夢 ではないのだ。

8月27日(土)公開の『インシディアス』は、『ソウ』のジェームズ・ワンと『パラノーマル・アクティビティ』のオーレン・ペリがタッグを組んだホラー ムービー。それぞれ、デビュー作で卓越したセンスと、細部まで計算し尽くされた映像とストーリーで、観客を恐怖のどん底へと突き落としてくれる。

製作費の数十倍ともなる利益をもたらしてくれる低予算ホラー映画は、ある意味、鉛を金に変える錬金術の現代版と言えるだろう。ただ、世界的にヒットしたタ イトルに共通するのは、演出の斬新さだ。資金繰りに苦しみながらも、お金のかからないアイデアを模索するなかで生まれる新たな映像表現こそ、製作者そして 映画ファンが求め続けている黄金なのかもしれない。


Who killed Cock Robin?