Movie Walker より(以下一部抜粋


>チャン・ツィイーのデビュー作として知られる『初恋のきた道』(00)や、豪華絢爛な演出が話題を呼んだ『HERO』(02)、『LOVERS』(04)の監督で知られる中国映画界の巨匠チャン・イーモウ。彼には、20年以上前に鑑賞して以来、「幾度となく脳裏に甦り続けた」と語る作品がある。1984年にコーエン兄弟が発表した『ブラッドシンプル』だ。そんなオマージュの気持ちからか、チャン・イーモウは新作『女と銃と荒野の麺屋』(9月17日公開)において、この傑作のリメイクに挑戦している。

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『ブラッドシンプル』は、4人の主要な登場人物の関係が複雑にこじれていく様を描いたクライムスリラー。コーエン兄弟のデビュー作ながら、同作を彼らの最高傑作と評価するファンも多いという作品で、非常に洗練されたストーリーテリングと緊張感あふれる緻密な演出が魅力だ。

だが、チャン・イーモウは『ブラッドシンプル』を全く毛色の異なる作品に仕上げてみせた。というのも、舞台をテキサスから中国へ移し、さらに何と時代物として作り変えてしまったからだ。ストーリーの骨格こそオリジナルを踏襲しているが、息の詰まるようなスリラーから一転、大胆な構図と鮮やかな色彩が炸裂する快作へと生まれ変わっている。

同じプロットであっても、監督によってここまで作風が異なってくるのには驚かされる。是非、この2つの作品を見比べて、それぞれの巨匠たちの個性を堪能してほしい。


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