Movie Walker より(以下一部抜粋)


>「ナポリを見てから死ね」の言葉通り、イタリアの大都市ナポリといえば、極めて美しい景観が世界的に知られている場所だ。だが、この風光明媚な土地が、実は“カモッラ”と呼ばれる世界最大級の犯罪組織の拠点であることをご存知だろうか? そんなカモッラの内情を鋭くえぐり出した社会派ドラマ『ゴモラ』が10月29日(土)より公開される。

【写真】原作者のロベルト・サヴィアーノ。組織に命を狙われ、現在も24時間警察の保護下に置かれている

全編に異様なまでの緊張感が漂う本作は、様々な立場でカモッラに関わる人間のリアルな生き様を、粗くドライなタッチで描いていく。これまでにも社会の暗部に生きる人々の姿を描いた作品は数多く作られてきたが、本作ほど裏社会の実情を生々しく表現することに成功した作品は稀有だろう。

なぜなら、本作の原作小説の作者であり、映画でも脚本として参加したロベルト・サヴィアーノは、自らカモッラに潜入、数々の事実をその目で目撃してきたまさに生き証人だからだ。当然、カモッラの内実を暴露した者として彼は組織に狙われる身となり、そのため現在も24時間警察の保護下に置かれているという。まさに命をかけた作品と言えそうだが、映画はそんな原作小説を忠実に再現することに成功しており、素晴らしい仕上がりになっている。

第61回カンヌ国際映画祭ではグランプリに輝き、ヨーロッパ映画賞では堂々5冠を達成した本作は、あの『ゴッドファーザー』(72)すら生温く感じるとまで称賛される。原作者の命がけの告発を真正面から受け止めてもらいたい。