お色気、バイオレンス、ロックンロール! B級映画の「神」ロジャー・コーマンが85歳にして東京に降臨!!【第24回東京国際映画祭】
シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)
>29日、現在開催中の第24回東京国際映画祭特別招待作品『コーマン帝国』舞台あいさつがTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、B級映画の帝王と呼ばれたロジャー・コーマンが85歳にして、4回目の来日を実現、インディペンデント映画界の「神」の降臨に映画ファンは熱狂の渦に包まれた。
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フランシス・フォード・コッポラ、ジョナサン・デミ、マーティン・スコセッシ、ジャック・ニコルソン、ロバート・デ・ニーロ、ピーター・フォンダなど、若き才能をいち早く発掘してきたロジャー・コーマン。アクション、お色気、SF、ホラーといった数々の傑作、珍作、快作を圧倒的なペースで量産し続け、85歳となった現在でもなお現役。2009年にはアカデミー賞名誉賞を受賞するなど、インディペンデント映画界の「神」として世界中の映画人に尊敬されている。そんな生きる伝説ともいえるロジャー・コーマンに会いたいと集まった満員の観客は、コーマン監督の登場に大歓声。
そんな彼が映画の裏方ではなく、「被写体」としてその半生を振り返るのが本作だ。「不思議な体験でしたね。いつもはカメラの裏側にいるのに、今回は俳優になっている。ただし、撮影のときには、監督にこうしたら? と意見を言いたい気持ちがこみ上げてくるが、いやいや、自分は監督でないんだからとその気持ちはこらえて、俳優に徹しました」と明かすコーマン監督だが、完成した映画については「とても気に入っているよ」とお墨付きを与えていた。また、コーマン監督の奥さんであり、仕事上のパートナーでもあるジュリー・コーマンは「フランスでは、この映画の中になんで(『断絶』などで知られる)モンテ・ヘルマンが入ってないんだという人がいたんですけど、彼は400本以上映画を作った人ですから。すべての映画に言及するのは無理ですよ。ただ、本作にはDVD用の6時間の特典映像があるので、そちらにはモンテ・ヘルマンは入っていますよ」と笑いながら本作をアピールした。
「この国は大好きです。東京も大好きだけど、京都にも妻と一緒に2回行った。実に美しい都市です」と日本への賛辞を口にするロジャーは今回4回目の来日となる。実は黒澤明監督の『デルス・ウザーラ』をコーマン監督が配給したという縁から、映画監督の黒澤明とコーマン監督は友人関係だったという。「実は昨日行ったのが『黒澤』というレストランだったんだ。(若き日のジェームズ・キャメロン監督が特撮にかかわっていた1980年の映画)『宇宙の7人』はかなり『七人の侍』を意識しているんだ」と笑顔で語っていた。
セックス、バイオレンス、ホラー、SF、西部劇、ロックンロールなどジャンルを問わないエネルギッシュな映画を生み出してきたコーマン監督だが、その素顔は非常に穏やかでソフトな語り口のジェントルマン。会場の観客は、彼の話を一言も聞き逃すまいと、前のめりになって彼の話に耳を傾けていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『コーマン帝国』は2012年春、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
第24回東京国際映画祭は10月30日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内の各劇場などで開催中