オリコン
より(以下一部抜粋)
>トム・クルーズ主演の人気映画シリーズ最新作『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(12月16日公開)。ポスターやCMの露出はあるが、興味を誘うような面白さがいまひとつ伝わってこないのがもったいない。どうやら制作が遅れに遅れ、最近になってようやく完成したという情報もある。トムも沈黙を続けており、今作について公に語るのはここ日本で、12月1日に都内で実施予定の記者会見が世界初となる見込みだ。トムの発言も気になるところだが、ひと足先に今作の監督を任されたブラッド・バード監督が電話インタビューに応じてくれた。
映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』予告編
『ミッション~』シリーズは、トムが演じるイーサン・ハントとそのチームが遂行不可能なミッションに挑むスパイ・アクション。製作も担うトムは、毎回異なる監督を起用し、それぞれの新しい視点を反映させてエンターテインメント性を高めてきた。前作から5年ぶりとなる4作目『ゴースト・プロトコル』では、『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』で2度、米アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したバード監督を大抜てき。初の実写映画のメガホンを取った。
それこそ“ミッション・インポッシブル”なのではないかと、失礼を承知で投げかけてみた。
「実は実写作品はずっとやりたかったんです。たまたま初監督のチャンスをもらったのがアニメーションだっただけ。それが当たると、次もまた同じようなものでってことで、アニメ作品を作ってきました。『Mr.インクレディブル』を観ればわかると思うのですが、私はスパイ映画が大好きですし、製作のJJエイブラムス、主演のトム、ジェレミー・レナーらキャスト、一流のクルーたちと一緒に働きたい、そう思って今回、引き受けました」と大役にも気負いはなかったよう。
続けてバード監督は「実際にやってみてどうかといえば、非常に大変です。例えば、水泳に興味がありますって言ってみたはいいが、気がついたら自分が太平洋のど真ん中にいるような感じです」と話した。がむしゃらに励んできたこれまでの心中を察して余りあるコメントだった。
製作も担うトムからはどのような要望があったのか。「このシリーズの素晴らしいところは、作品ごとにテイストや展開、語り口を変えて、監督の色が出せることなんです。トムが言ったのは、私のバージョンの『ミッション・インポッシブル』を作ってくれてということだけでした。私の色ですか? 自分が見たい映画を作るというのが私のポリシー。敢えて言えば、遊び心のある映画とでも言いましょうか。いままでの作品よりもお茶目な感じに仕上がると思いますよ」。予告編にも過去の『M:I』シリーズのオマージュと思われるカットがあり、長くシリーズを愛してきたファンの心理をくすぐる仕掛けが用意されているようだ。
もう一つ、今作に見るバード監督の色として語り継がれそうなのが、撮影にアイマックスカメラを使用したことだ。このカメラは、高価で重量もあり、世界各地でロケ撮影を敢行するには決して使い易い物ではないが、通常の映画で使用されるフィルムよりも大きなサイズの映像を記録出来るため、「大スクリーンでも鮮明でシャープな映像を観る素晴らしさで観客を興奮させたいと思った。昔の大作映画が持っていたショーマンシップというか、スケールの大きさを味わってもらいたいから」と気概を示した。
マスコミ関係者向けの試写も一切行われていない27日現在で、明らかになっていることといえば、ロシアのクレムリンで発生した爆発事件を発端とし、その容疑がIMF(極秘スパイ組織・不可能作戦班)のイーサンとそのチームにかけられてしまうこと。米大統領は政府が事件に関与した疑いを避けるため、「ゴースト・プロトコル(架空任務)」を発令し、イーサンのチームはIMFから登録を抹消され、国や組織という後ろ盾を失ったまま「クレムリン爆破の黒幕を追い、さらなる核テロを未然に防ぐ」というミッションの遂行を余儀なくされる。誰も信じられなくなるほどに、イーサンが追い詰められる展開になることは必至だ。
バード監督は「どんなストーリーなら観客がワクワクできるか、それだけを追求しました。今回はイーサンが自分でメンバーを選べなかったらどうか、IMFから孤立してすべてのコネクションが断たれてしまったらどうなるか、そういう状況下でアクションや人間ドラマを描いたら面白いものができるんじゃないか、と。私たちは100年たってもカッコい、クールな映画を作ろうと挑んできました。大変ではありましたが、すごく幸せです」。
電話ではバード監督の表情を見ることができないが、丁寧な受け答えや穏やかな話し声から受けた印象では、今作への期待に十分な準備と自信がうかがえた。