オリコン より(以下一部抜粋)
>俳優の高倉健が盟友・降旗康男監督と10年ぶりのタッグを組み、6年ぶりに主演する映画『あなたへ』(2012年秋公開)がこのほど、福岡県・門司港で無事クランクアップを迎えた。北陸・富山から亡き妻の故郷、長崎県・薄香港までキャンピングカーで旅をするストーリーに沿って高倉は、富山県を皮切りに岐阜県、兵庫県、福岡県、長崎県、さらに都内近郊のロケ地を西へ東へ行ったり来たり。総移動距離は9000kmに及んだ。「良い旅をさせていただきました。降旗監督も珍しく興奮していたので、それを見てぐっときました。良い旅でした」と振り返った高倉は、6年ぶりの映画撮影、そして自身の故郷でもある福岡県でクランクアップを迎えて「感慨無量です。その一言です」と語っていた。
2ヶ月半の撮影で1日を除き、すべての撮影日(実景撮影を除く)に出番があった高倉は、さらにその1日の撮休日にクランクアップを迎える長塚京三、原田美枝子のために現場に顔を出し、皆勤賞となった。しかも、高倉と撮影スタッフは時間に余裕のある限りは実際に車での移動を行い、ロードムービーを体感しながらの撮影となった。最初のロケ地である富山県からの帰り道では台風15号の直撃にあうなどのハプニングにも見舞われたが、ほぼ順撮りで撮影を行い、各地でのフィルムコミッションの手助けも得て、撮影は順調に行われた。
最終日となった11月20日は、北九州・門司港でイカ飯販売員役の佐藤浩市、草なぎ剛が物産展でお店を開いているシーンの撮影。門司港には北九州フィルムコミッションの協力で20店舗のご当地グルメの屋台が並び、300人を超えるエキストラが参加する物語のエンディングに相応しい大規模ロケとなった。門司港の海沿いの道を約100mに渡り、ひとり歩くシーンが高倉のラストカットとなった。
高倉とともにクランクアップを迎えた佐藤は「(高倉とは)ほぼ30年ぶり(1983年の『南極物語』以来)にお会いして、最初のあいさつで『かんばれよ。これからだぞ』とおっしゃった。30年やってきて『あ、これからなんだ』と、改めてその言葉が新鮮でした。自分自身の芝居に対する気持ちが平板になりかけていたときに、またひとつ山を作っていただいたような気持ちです。非常に新鮮でありがたく、本当にフレッシュな気持ちでこの映画に挑めました」。
草なぎは「本当に舞いあがってすごく緊張していたんですが、高倉さんが緊張をほぐして下さいまして、本当にスペシャルで貴重な体験と時間を過ごすことができて、本当に楽しかったです。高倉さんの旅に僕も便乗させてもらったような気持ちで、出会って転々と一緒に旅をして、最後を門司港で終えることができて少し寂しい、いや、大変寂しいです。いつか一緒に高倉さんの旅にお付き合いできる機会があったら、是非その時はまた一緒に旅したいです」と話していた。