Movie Walker より(以下一部抜粋)
>高倉健が、『駅 STATION』(81)、『夜叉』(85)、『あ・うん』(89)、『鉄道員 ぽっぽや』(99)、『ホタル』(01)など、数々の名作を世に送り出してきた盟友・降旗康男監督とタッグを組んだ『あなたへ』(2012年秋公開)。北陸・富山刑務所の指導技官が、愛した亡き妻の生前の真意を知るため、妻の故郷である長崎県・薄香港へキャンピングカーで旅をするストーリーに沿って、富山を皮切りに岐阜県、兵庫県、福岡県、長崎県でのロケ撮影を行ってきた高倉が、11月20日、福岡県の門司港で無事にクランクアップを迎えた。故郷・福岡でクランクアップを迎えた高倉は、「感慨無量です」と6年ぶりの映画撮影の終了をかみ締めた。
【写真】高倉と『夜叉』(85)以来の共演を果たしたビートたけし
クランクアップ日は、イカ飯販売員役の佐藤浩市、草なぎ剛が物産展でお店を開いている設定のため、ロケ地となった門司港には北九州フィルムコミッションの協力で20店舗のご当地グルメの屋台が並び、300名を超えるエキストラも集結、物語のエンディングにふさわしい大規模なロケとなった。門司港の海沿いの道を約100mに渡り、一人歩く高倉健のラストカットの撮影が終わると、スタッフからはクラッカーを鳴らしての歓声が上がった。無事に撮影を終えた草なぎは、「高倉さんの旅に僕も便乗させてもらったような気持ちで、出会って転々と一緒に旅をして、最後を門司港で終えることができて寂しいです。いつか一緒に高倉さんの旅にお付き合いできる機会があったら、是非その時はまた一緒に旅したいです!」と再共演を願った。高倉と『南極物語』(83)以来の共演となる佐藤は、「最初にご挨拶に行った際、『頑張れよ。これからだぞ』と。30年やってきて、『あ、これからなんだ』と、改めてその言葉が新鮮でした。自分自身の芝居に対する気持ちが平板になりかけていた時に、また一つ山を作っていただいたような気持ちです。非常に新鮮でありがたく、本当にフレッシュな気持ちでこの映画に挑めました」と、感謝の気持ちを述べた。
自称・元中学教師の杉野輝夫役で『夜叉』(85)以来の共演を果たすビートたけしは、高倉との共演を終え、「高倉さんはほっとするんだけど、気安くない。菩薩や仏像のすごいのの前に立ったみたいな気がしました。緊張しているんだけど、楽っていう居心地が良い、違う世界の人だなと思いました」とコメントを寄せている。劇中で主人公・倉島英二が、富山から妻の遺骨の散骨地である長崎県・薄香港まで旅をするうえでの移動距離は約1200kmだが、各ロケ地での撮影の合間に、都内近郊での撮影も行った高倉の総移動距離は約9000kmにも及んだ。高倉と撮影スタッフは、時間に余裕のある限りは実際に車での移動を行い、ロードムービーを体感しながらの撮影になったという。高倉は2ヶ月半の撮影中で一日を除き、全ての撮影日(実景撮影を除く)に出番があり、さらにその一日の撮休日にクランクアップを迎える長塚京三、原田美枝子のために現場に顔を出すなど、皆勤賞だった。撮影を振り返り、高倉は「良い旅をさせていただきました。降旗監督も珍しく興奮していたので、それを見てぐっときました。良い旅でした」と名残り惜しそうな表情を浮かべた。