シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)


>週末から全米一般公開となったトム・クルーズ主演の大作映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』がクリスマス週末に2,950万ドル(約23億6,000万円)をたたき出し、初登場のスティーヴン・スピルバーグ監督の新作2本をけ散らして全米ナンバーワン映画となった。先週末は425スクリーンIMAX館でのみの小規模公開だったにもかかわらず第3位に食い込んだこの作品は、クリスマスの連休を前に上映館を3,448館に大きく拡大。『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』を1週間でトップからけり落とした。(1ドル80円計算)

今週第1位の映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』写真ギャラリー

 デビューした週はIMAXでの上映のみということで、現時点での総合興収は同時期における前作3本のそれに劣るが、本作においては最初は飛ばしていたがガス欠になるのも早かった前作3本よりも長丁場が期待できそうなチャートの動きを見せており、最終的には前作の映画『M:i:III』の総合興収は軽くクリアし、うまくいけば1996年に公開された第1作目の映画『ミッション:インポッシブル』のトータル成績を抜く可能性が出てきている。アメリカ国内の人気映画ファンサイトにおける同作の評価もA-と高く、この成績からも今後期待できそうだ。

 配給のパラマウント・ピクチャーズが行った観客調査によると、同作品を観に来ていた61パーセントが男性客、そして65パーセントが25歳以上だったとの結果が出ている。ちなみに週末興収でIMAXから得た収益は全体の23パーセントだったという結果も発表された。

 第2位は、早くも首位の座を明け渡してしまった『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』で2,026万ドル(約16億2,080万円)。公開後11日目で9,056万ドル(約72億4,480万円)の総合興収となっている。この手のアクション映画は2週目に急激に降下するが、48.9パーセントとまずまずな結果となった。

 第3位は初登場、デヴィッド・フィンチャー監督の期待作映画『ドラゴン・タトゥーの女』で1,275万ドル。ダニエル・クレイグ主演のスリラーだが、共演している新人女優ルーニー・マーラの演技は壮絶でアカデミー賞助演女優賞候補との呼び声も高い。過去10年で屈指の世界的ベストセラーであることや、配給ソニー・ピクチャーズが打ち出したPRなどを考慮に入れるともう少しランクが上でも良かったのではという意見もあるが、この映画はストーリーや映像的がドギツイため、ホンワカ家族ムードのクリスマス週末には少々毒が強過ぎたのではという見方もある。

 代わって第4位は、先週第2位から45.6パーセント落ちのファミリー映画『アルビン・アンド・ザ・チップマンクス:チップレックト(原題) / Alvin and the Chipmunks: Chipwrecked』で1,265万ドル(約10億1,200万円)の収益。アルビン・シリーズもややガス欠状態か……。

 第5位は初登場で、スピルバーグとピーター・ジャクソンがコラボしたモーション・キャプチャーによるアニメーション映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』で971万ドル(約7億7,680万円)だ。本作はスピルバーグ監督がメガホンを取り、次作はジャクソン監督と続編の公開も決まっているものである。ちなみに原作の「タンタンの冒険」シリーズは、ヨーロッパでは知名度が高いもののアメリカではなじみが薄く、ボックスオフィスでもそれがネックとなっているのは確かである。

 さて早いもので2011年もフィナーレを迎えつつあり、今週土曜日はいよいよ大みそかである。スタジオ側も世間がニューイヤー・パーティーで映画どころではないということを見越しており、年末がウイークエンドにかかるときは新作リリースが極端に少ない。

 ということで今週末公開の新作で目ぼしいところは1本のみで、映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』である。新年1月に発表されるアカデミー賞主演女優賞でノミネートが確実視されているメリル・ストリープがイギリスのサッチャー元首相を演じ上げる伝記ドラマだ。メリルのサッチャー元首相への成り切り度は圧巻で、アカデミー賞候補歴16回・2回受賞を果たした大女優の貫録を見せ付け、映画ファンを堪能させてくれるはずだ。

 しかしながら、この映画は限定公開ということでトップ5に食い込む可能性はかなり薄い。このため、次回ランキング予想としては『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』が首位をキープ、あるいいは『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』か『ドラゴン・タトゥーの女』が巻き返しを狙うといった展開になりそうである。