シネマトゥデイ より(以下一部抜粋)
> このほど第84回アカデミー賞候補者を決める投票用紙がアカデミー会員たちに配布されたが、これをめぐってアカデミー会員たちの間でちょっとしたパニックが起こっている。
本年度有力候補映画『アーティスト』
アカデミー賞作品部門候補作品の本数は昔から5作品だったのだが、2年前から10作品に増やされ賛否両論を呼んでいた。しかし、去年夏にその新ルールが定着する間もなくアカデミーよりまたもや規則変更の発表があった。「今回のアカデミー賞から視聴者たちの楽しみを倍増するために候補作品を10本と決めず、5本から10本の間とする」というものである。
だが、良かれと思って改訂されたこの新ルールはノミネーションの投票用紙が配布された現在になって新たに混乱を引き起こすこととなった。なぜなら配布された投票用紙には作品賞候補を書く欄が5本分しかなかったからである。このためアカデミー本部には問い合わせの電話が殺到。ちょっとした混乱状態に陥ったばかりか、ここ数年二転三転するアカデミー賞の規則にウンザリした何人かのアカデミー会員たちが、「説明不十分な新規則」に対して業界誌を通じて苦言を呈するという事態にまで発展した。
この混乱状態の発端はそもそも、新ルールが発表された時点で一般映画ファンやアカデミー会員達も含めた業界人たちがアカデミー賞候補に投票する際、作品賞候補を5本から10本を自分たちで選ぶものと解釈してしまったからである。
しかしアカデミー側としては新規則を発表した時点でこと細かに新しい投票の手順を会員に対して書面で説明しており、彼らにしてみれば落ち度はゼロ。だが、多数の会員たちは「5本から10本」という1行を見た途端に、「好きな作品を5本から10本自ら選ぶ」と判断してしまったのである。
それではいったい、実際の新ルールとは何なのか? そしてアカデミーはその「5本から10本の間」をどうやって決めるのか。
今年から施行されるアカデミー賞作品賞部門候補のノミネーション・ルールはアカデミー有権者が1位から5位まで気に入った順番に作品名を書き込み発送。それをアカデミー側が毎年お馴染みの統計会社プライスウォーターハウス・クーパー社に依頼し、難解なアカデミー賞方程式(!?)に乗っ取っとってに計算してもらう。そして、ある一定の点数枠に入った作品を最低5本・最高10本選抜して、それらの作品がアカデミー賞候補としてノミネーションを受けるというものなのである。
ちなみに、その“難解”なアカデミー賞方程式とは、投票した会員の総数そして1位から5位に割り振られた点数等々を足したり割ったり引いたりするらしく一般映画ファンはもとよりアカデミー会員たちにとっても難解の極み。果たしてこの頭が痛くなりそうな新ルールが今回のアカデミー賞でどれだけ功を奏することになるか。