毎日新聞 より(以下一部抜粋)
>◇自分で動いて答え見つけて
平安末期の乱世を「武家の棟梁(とうりょう)」としてたくましく生き、巨大な平家一門を築いていく平清盛を演じる。
初出演の大河ドラマの印象は「迷子になってしまうくらい大きくて長い作品」。映画や通常の連続ドラマの撮影期間は長くて3カ月。昨夏に撮影が始まり3カ月たっても、清盛はまだ養父、忠盛の下で成長する半人前の男。撮影は秋まで続く長丁場で1話から順番に撮るわけではない。それでも「演じるプランをしっかり組み立てるために、今朝起きて台本を最初から(全50話中、出来上がった16話目まで)読み返した。7話と14話でまったく同じセリフがあるが、成長の違いがはっきり分かるように表現の仕方は変わってくる。台本を見直すのは面白い」。大役に向かう姿勢を冷静なまなざしで理路整然と語る。
役者の仕事をしていて感じるのは「今の人は自分の気持ちを素直に表して好きなふうに生きるのが難しい。これは駄目とか、経験もしないでパソコンですぐに分かってしまう。それで他人の意見に沿った生き方をしてしまっている人が多い」ということ。清盛は「俺は野良犬だ」と叫ぶ。朝廷や平家の言いなりにはならず、民を守るために己を信じて常識やおきてを取っ払っていく。「このドラマで自分で動いて答えを見つけることの大切さを伝えたい」と、今度は熱っぽく訴える。
演技で一番心がけているのは「常にエネルギーを出すこと」。清盛は忠盛から「民が笑っていられる世界を作るのが武士の役目」と教えられる。そのため清盛自身、よく笑う。「笑うことで世の中のネガティブなものを吹き飛ばす力にしたい」。51作目の大河は、男くさくて活力みなぎる物語になりそうだ。