ツイートしました。
ポール・スミス氏が断言!「『裏切りのサーカス』は美しく、素敵な作品だ」(Movie Walker) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120427-00000023-mvwalk-movi
>スパイ小説の大家、そして自ら元諜報部員だったジョン・ル・カレ原作で、スマイリー3部作の第1作目「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を、『ぼくのエリ 200歳の少女』(10)のトーマス・アルフレッドソン監督が映画化した『裏切りのサーカス』が4月21日に封切られ、2週目を迎えようとしている。本作は第84回アカデミー主演男優賞ノミネートのゲイリー・オールドマンを主人公に、コリン・ファース、ジョン・ハート、トビー・ジョーンズ、マーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチといった豪華キャストで贈る、男の哀愁に満ちた静かなるスパイ作品だ。今回、監督やキャストではなく、本作の制作にクリエイティヴ面で参加したファッションデザイナーのポール・スミス氏に、来日に合わせて話を聞いた。
【写真を見る】これがポール・スミス氏直筆のクリエイティヴメモの一部
――トーマス監督があなたにオファーしたきっかけが、ストックホルムでのあなたの講演を聴いたからということでした。まずはその講演について聞かせてください
「簡潔にまとめると、誰もがインスピレーションを得ることができる。私のデザイン活動のベースでもあるけど、他の人がどうしているだろうか?とそれを見てコピーするのではなく、自分の目を使って新しいことを考える。パターン、スケール、テクスチャーなど、色々な差を見て、自分で考える。そういった内容だったね」
――監督からのブリーフィングは3回、それも各回たった1時間という短いものでしたが、そこではどんなことを話されたのでしょう?
「監督からは具体的な話は何もなかったんだよ。だからイマジンが大切だったね。監督はこの作品をムードあるものにしたいんだと私は思ったんだ。ストーリーを奥深く理解するのは難しいけど、私は私なりのアプローチで、たとえば主人公のスマイリーを考える時、『彼はいったいどういう人間だろう? そう、恐らく郊外の素敵な、でも小さな家に住んでいるに違いない。部屋にはモダンアートが飾られている』といったことを監督に話したよ。今言ったようなアイデアを台本にびっしり書き込んでいったんだ(※そのクリエイティヴメモは画像参照)」
――現場では監督以外、出演者と演出などについて色々話をされたのですか?
「いや、実は監督としか話をしていないんだよ。私の方から具体的に話をしたキャラクターはスマイリーと、ジョン・ハートが演じたコントロールのふたりで、ロンドンらしいブリティッシュ・ジェントルマンであるべきだと考えたんだ。それ以外はこの時代の世界観やロンドンの街並み、サーカスのインテリアやシークレットファイルを探す室内とか、それぞれの具体的なイメージを伝えた。ロンドンは皆さんもイメージしているだろうが、色で言うならグレーだね。建物もあんな感じだ」
――確かに作品全体を通してモノクローム調で、でもポイント、ポイントで赤や緑といったカラーがとても効果的に見えました。そこもやはり計算された部分なのでしょうか?
「そうだね。灰色がかったモノクローム、それはミステリアスだがシャープやモダンではない。決して格好良いイメージでもない。そこに赤や緑(目の前に色々な資料を広げて見せてくれる。ロンドンバスの赤が象徴的)をふわっと置くことで、見た人に何かしらのインスピレーションを起こさせる。この作品が出来上がって初めて映像を見たが、監督は私の意図を的確に汲んで、見事な映像にしてくれていた。とても嬉しかったよ。そして私の考えに間違いがなかったということもね」
――本作は派手なアクション満載のスパイ映画ではありません。そういった作品を見慣れた人にとって、まさに真逆な作品ですね。ちょっと心配な部分はありませんか?
「確かに私も最初はそう思っていたんだ。特に集中力の短い人にどうかと思ったよ。とてもジェントルなペースで進んでいくし、マジックやデストラクションもない。もちろん派手なアクションもだ。でも多くの人たちが『飽きなかった!』と言ってくれた。この作品は本当に美しく、そして素敵なんだ!」
2000年にエリザベス女王から“サー”の敬称で呼ばれるナイトに叙勲されたポール・スミス氏。インタビュー時は、とても丁寧に、熱意あふれる口調でたっぷり語ってくれた。事実、時間が足りなくなるぐらいで、本作の話から、脇道それたイングランド代表のスーツやマンチェスター・ユナイテッドの公式スーツを手がけている話まで、ユーモアを交えながらウィットに富んだインタビューになった。
氏の貢献も大きかっただろう、本作は4月21日の初日、メイン館の1つ、TOHOシネマズシャンテで全回満席、新宿武蔵野館でもほぼ全回満席で立ち見も出るなど、大ヒットスタートを切った。鑑賞された方の声を聞いても、「細かいところをたくさん見逃していると思う」「もう一回見たい!」という声が続出。それに応えて、公開劇場では何と『裏切りのサーカス』半券持参で2回目以降は1000円で観賞できるリピーターキャンペーンを実施中だ。本作は全国順次公開作であり、これから公開を迎えるエリアの方は大いに期待してもらいたい!