GG賞ことゴールデン・グローブ賞は、映画だけでなくテレビドラマも対象にしておりますが、そこで今年度の最優秀ドラマ賞を受賞した「HOMELAND」の初回特別放送がいよいよ明日に迫りました!
■ 「HOMELAND」
ある男の帰還。 彼は“脅威”か“英雄”か?
本年度 ゴールデングローブ賞 最優秀ドラマ賞受賞作
アメリカ兵“ニコラス・ブロディ”が突然帰還を果たす。
“英雄の帰還”と取り沙汰されるが、ひとりのCIA局員にテロリスト容疑を掛けらてしまう。アメリカ社会の表と裏、真実と嘘、現代社会が持つ 悲しみや痛み、そして人間の本質をリアルに描いた心理サスペンスドラマ『HOMELAND』FOXCRIME独占日本初上陸!!
本年度ゴールデングローブ賞 最優秀ドラマ賞 / 主演女優賞 受賞 『24 –Twenty four-』のクリエイター“アレックス・ガンサ”製作総指揮米ケーブル局“SHOWTIME”過去8年で初回最高視聴率を獲得!!
2012年5月30(水)21:00に初放送!
本放送は6月14日(木)21:00より!
主演のニコラス・ブロディ役はダミアン・ルイス。
惜しくも受賞は逃しましたが、彼も同じくGG賞の主演男優部門にノミネートされておりました。
日本ではあまり知名度高くないかもしれませんが、彼の演技には定評があります。私はスティーブン・キング原作の「ドリーム・キャッチャー」を見てすっかり彼のファンになりました。外見は地味な印象ですが、演技は超一流。何かに取り憑かれて操られているけれど、時たま本来の自分に戻るような役を演じさせたら天下一品ではないでしょうか?
「HOMELAND」でもその資質はいかんなく発揮されております。これは説明するより見た方が早いので、是非ご覧下さい。
主演女優は彼を疑うCIA局員のキャリー・マティソン役のクレア・デインズ。
彼女は映画でもレオナルド・ディカプリオと共演した「ロミオ+ジュリエット」でつとに有名ですが、最近ではエミー賞を受賞するなどテレビ界でも活躍しております。
彼女の「HOMELAND」での演技はラッセル・クロウがGG賞で主演男優賞を受賞した「ビューティフル・マインド」を彷彿とするものなので、今回の受賞も当然なのかもしれません。
それが具体的にどういうものかというと、少々内容に踏み込まなければならないのですが、第一回を見た限りでは「HOMELAND」というドラマはちょっとスパイものに近いのですよ。スパイものといっても「007」みたいなアクションではなく、「裏切りのサーカス」のように組織の中で裏切っている誰かを見つけるのがサスペンスのドラマですね。
さて、こういうドラマの場合、周囲の人物から厚い信頼を受けてどこにも怪しいところのないような人物に対し、たった一人だけ疑念を抱く人がいるんですが、でもその疑念を抱いた人の話には具体的な証拠がないため誰も耳を傾けない、というのがパターンだったりします。観客の目には状況証拠によるその「疑念」は間違いがないものと映っているので、その人の話が誰かに初めて信じて貰えた時にはほっと胸をなで下ろします。それでようやく次の段階――すなわち怪しい人が本当にスパイであることが明らかになって、その人を追い詰めていくorその人に命を狙われる――に進めるわけですが、そのためにはやはり観客が最初に疑念を抱いた相手のことを完全に信じていることが前提なのですよ。
ところが「HOMELAND」ではその最初に疑念を抱いた人=キャリー・マティソンに対して視聴者はもひとつ信頼がおけないんですよ。なにしろクレア・デインズが「ビューティフル・マインド」のラッセル・クロウですから。ぶっちゃけた話、キャリーが正気なのかどうなのか、視聴者には分からないんです。
だからキャリーが疑念を抱いた相手、すなわちニコラスが本当に裏切り者なのかどうかも実のところ分からないままなんですね。キャリーの推測が正しいのか、それとも単なる思い込みにすぎないのか判然としないまま、ニコラスはニコラスでどっちともとれる行動をとっている。帰還兵であるニコラスは何か一人苦悩しているのですが、少なくとも第一話ではその原因がどこにあるのか視聴者には分からないので謎は深まるばかり。
この辺のサスペンスが「HOMELAND」の新しいところだと思います。キャリーの人物設定もかなりスゴイですが、これは見てビックリしてください。
「HOMELAND」、初回特別放送は明日の午後9時から。
お楽しみに♪