>今夏、“本物”が感動を呼ぶ リアル・ストーリーから映画化された3本が続けて公開(cinemacafe.net) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120604-00000008-cine-movi
真実の物語ほど、人々の心を揺さぶるものはない。そしてそれが映画という形をとると、その感動は一層増し、多くの人にの元に届けられる。夏休みが近づき大作が目立つこの時期、3本のリアル・ストーリーを描いた映画が話題を呼んでいる。
この記事のほかの写真
『ソウル・サーファー』の主人公は、ハワイでプロサーファーを目指す13歳の少女、ベサニー・ハミルトン。2003年秋、練習中にサメに襲われ、片腕を失うという悲惨な事故に遭った彼女が、そのわずか2か月後には奇跡の大会復帰を果たすという奇跡の実話を映画化している。プロデューサーが映画化についてベサニーにアプローチしたのは事故が起きた半年後。ベサニー役には「セックス・アンド・ザ・シティ」のスピンオフTVシリーズでヒロインのキャリーを演じることでもいま注目の若手女優、アナソフィア・ロブが抜擢された。アナソフィアはサーフィンはもちろん水泳、ウェイトトレーニング、ストレッチなど徹底的なトレーニングを積み、現在もプロサーファーとして活躍しているベサニー本人にも教わった。また撮影は実際、ベサニーが幼い頃から親しんでいたハワイのサーフィンスポットで行われ、本人が自身役のスタントとして出演しているというリアリティへの徹底ぶり。ガールズムービーでもサーフィンムービーでも終わらない、ヒューマンドラマとして見事描かれている。
『幸せへのキセキ』は「買った家に荒れ果てた動物園が付いてきた」というまるでフィクションのような実話を基にした一本。イギリスのジャーナリストのベンジャミン・ミーは、経営は全くの未経験ながらも動物園を買い取り、妻の悲しい死を含む多くの試練を乗り越えて、2007年の7月に動物園を再オープンさせる。彼はオープン後、自らの経験を新聞のコラムとして掲載。その後、ドキュメンタリーとしてテレビ放映され、さらにこの物語をまとめた本はイギリスでベストセラーとなった。そして、映画のプロデューサーがこの本に目を止めたことが映画化のきっかけとなったのだ。映画ではマット・デイモンがベンジャミン・ミーを演じている。
これら真実のストーリーに、より一層リアリティを与えているのは、監督や俳優たちの実体験だろう。実生活でも父親であるデニス・クエイドは、「僕は『ソウル・サーファー』がベサニーの栄光のストーリーであると同時に、家族が苦境を乗り越えるストーリーであることに強く惹かれたんだ」と、役のオファーを即決。母親役のヘレン・ハントも同じ。「娘のベサニーには、どんなに暗闇に包まれた時期でも、何が真実なのか、自分自身で見出してほしいと思っているの。私が共鳴したのは、それこそまさに私が自分の娘に対して思っていることだからよ」。
一方、『幸せへのキセキ』の監督として白羽の矢が立てられたキャメロン・クロウは、実は過去にオリジナル脚本以外の作品を作ったことがない。それでもプロデューサーは、「彼も子供を持つ父親なので、共感してもらえるものがあるのではないかと思った」とその思惑を明かす。そしてクロウ監督にとって、意外にも「ベンジャミンの話を伝えることは、自分が作ったほかの映画と同じくらい私的なもの」となったのだった。主演のマット・デイモンも私生活で4人の子供を持つ父親という体験は、役に大いに生かされたようだ。
時には映画化されることによって、意外にも見過ごしていた奇跡や、局地的にしか知られていなかった真実の物語を教わることもある。「こんなすごい話が実際あったのか!」と驚かされることもしばしば。
『だれもがクジラを愛してる。』は1988年10月に起きた、アラスカ氷海に3頭のクジラが閉じ込められるという事件にインスパイアされている。この事件は最初ローカル・ニュースとして報道されたが、全米、そして世界へ報道され、世界中の報道陣が救出現場に押し寄せ、自然保護活動団体から石油採掘業者、ホワイトハウス、冷戦中だったソ連までをも巻き込む一大事件となった。映画の原作となっているのは、当時、取材に関わったジャーナリストの著書。全編アラスカ州内で撮影を敢行し、地元民も大勢エキストラとして参加している。ドリュー・バリモア演じる主人公のレイチェル・クレーマーは、「グリーンピース」のアラスカ州支部責任者のシンディ・ローリーがモデルとなっている。
映画が伝えてくれる、リアル・ストーリー。フィクションでは成し得ない、記憶に残る感動がそこにはある。
特集:『ソウル・サーファー』リアル・ヒロインに会いたい!
http://www.cinemacafe.net/ad/soulsurfer