「愛と誠」を見て、そのあまりの常軌を逸した様に目を丸くしていたのだけど、そのあと続けて「ブルース・ブラザーズ」を見たら納得した。ミュージカルのキャラクターなんて常軌を逸してナンボやと。じゃないと道の真ん中で突然歌い始めたり踊り出したりできないわよ。
ところでこの「愛と誠」、宣伝では歌と踊りをフィーチャーしてるワリには「ミュージカルです♪」とは自称してないと思うんだけど、それはやっぱりアレでしょうか、自信もってミュージカルと名乗る程歌もダンスも上手くないとゆー……(こら!)
「愛と誠」でお歌いになってる俳優の皆様、別に下手ではありません。よく練習したなあと分かる上手さです。でも、本職の市村正親さんが歌うとレベルの違いがはっきりしていて、段違いというよりむしろ場違い、すでに世界が違うという感じですもんね。一人だけ発声から違いますからね。
「愛と誠」の俳優さんの中で一番上手かったのはガムコ役の安藤サクラさんでしょうか。今は亡き尾崎紀世彦さんの「また遭う日まで」を歌われたんですが、この曲1オクターブぽーんと上がるところがあって難しいのに、全く外さず綺麗に飛んでましたからね。さすがにつないだままではなかったけれど。
ダンスが中学で必修になって困っている先生は生徒引き連れて「愛と誠」見に行ったらいいと思います。「ダンス」と言うものに対するハードルというか心理的障壁がぐっと下がる事請け合いですから。
「愛と誠」の振り付けはパパイヤ鈴木。そもそも「ダンス」ではなく「動き」を振り付けたのかもしれないけど、音楽に合わせてみんなが揃って体を動かしてれば悲しいかな群舞に見えてしまうのだ。ただしそこには優雅さのカケラも見あたらないけれど。それ以前にみんな体カタそうに見えるのは何故。
実は「愛と誠」は「外事警察」と違った意味で音の使い方が上手くって、ダンスシーンには必ず軍靴で行進しているようなザッザッザッという音が実際の人数以上の迫力でつけられていたのです。この音によって大人数の一糸乱れぬ動きというイメージが先行して植え付けられるのよね。
殴るときの拳が空を切る音や人体にヒットする音なんかも香港映画並にハッキリつけられていて、実写よりアニメに近い効果音の付け方かも。そうそう、「愛と誠」は1972年が舞台なんだけど、衣装で新宿のチンピラ達が着ているシャツの柄が凄かった。いや~、時代を感じましたよ。
ところで「外事警察」に出ていて「愛と誠」にも出ていたのが余貴美子さん。違う映画とはいえどーやったらここまでかけ離れた役ができるんだ?! まあどっちも○○女には違いないんだけど。ぜひ両方の余さんを見比べてビックリしてくださいませ。
「外事警察」みて思うのはさ、住本って三国志演義の諸葛孔明みたいな事やってるんだよね。でも住本には孔明の劉備のような立派な主君がいない。信頼を寄せて頼る事もできなければ、自分を信じて任せて貰う事もない。第一国益が何なのかすら判然としない。生まれる時代と国を間違った可哀相な人です。