そもそも私は「マダガスカル3」を見ようなんて思ったのは、予告編でクリス・ロックがあの高い声とテンションで「ラッタッタラララ、ラッタッサーカス! ラッタッタラララ、ラッタッアフロ!」と歌うのを聞いたから! 虹色のアフロなウィッグをつけたシマウマが「サーカス、アフロ! サーカス、アフロ!」と歌って踊るのを見たら、こりゃー見ないわけには行かないだろーとその場で決意してしまいましたわよ。


それで試写会に応募したら見事当選!(トーキョー女子映画部に感謝!)


それはいいんだけど、私それまで「マダガスカル」って、見たことなかったのよね。テレビでやってるアニメでペンギンズとかキングジュリアンは知ってたんだけど、肝心の主役4匹組は姿かたちぐらいしか分かってなかった。


それで慌てて「マダガスカル」をレンタルして来て、字幕で見たんですが……すぐに後悔しましたね、今までずっとこのアニメを避けてきたことを!


めちゃくちゃおもしろいじゃん!


まあ、この作品を「おもしろい」と思えるのはやはりある程度心にゆとりがあるというか、子どもに返って童心で見なくてはならない部分があるので、公開当時の私だったら素直に楽しめたかどうかというのは分からないんですが、今見たらサイコーに気に入ってしまいましたよ♪ しつこいようですがハンス・ジマー最高。映画はやっぱり音楽がよくなくっちゃね♪


ワタクシ、意外と映画には耳から惚れます。俳優さんの声も、効果音も後ろに流れる音楽も、皆重要です。今まで聞いた中で完璧なのは「インセプション」でしたが、それもハンス・ジマーなんだよね~♪ 


というわけで、目よりも耳で惚れ込みました、「マダガスカル」。だって声優を務めてるのがベン・スティラーにクリス・ロックにデヴィッド・シュワイマーにジェイダ・ピンケット=スミスだもん、声も演技も最高でしょ!


特にベン・スティラー、声だけなら自分の外見にとらわれないですむから、普段はパロディとしてやっている「俺様世界一カッコイイ男、みんなのリーダー」的役割を、ここでは真剣にやってるんですよね。例えていうなら「トロピック・サンダー」で演じてたタグ・スピードマンの性格から「映画スター」として誇張された部分をさしひいて、もっと人間性豊かにした感じかな、アレックスはライオンだけど。


こうね、ライオンという時点でアレックスはすでに他の仲間に対して肉体的優位に立っているわけですよ。その肉体的な優位性というのは、ベン・スティラーが自分で演じている限りは残念だけど持つことができないものでしょう。だからベン・スティラーが、外見が彼自身なのにも関わらずスタローンやシュワちゃんみたいな役を演じるとそれはパロディにしかならなくて、パロディをよりおもしろく見せるためにはその落差を極端に誇張して見せなくてはならない。それがタグ・スピードマンであり「トロピック・サンダー」のおもしろさだったんだけど、「マダガスカル」ではその必要がないのね。だからベンは、彼が本来持っているリーダーシップや男らしさを自分の外見にとらわれることなく自由に演じることができる。


そうやって見ると、いや、聞いてると、ホント、ライオンのアレックスって可愛いヤツで……♪ もちろんワガママでダメダメな部分もいっぱい持ってるんだけど、でも根本的なところに優しさがあるし何より一生懸命になれるから、どんどんどんどん成長して変わっていけるんですよね。そこがいいのよ♪


ただ、そのためにベン・スティラーが俳優として出演する際に見せるテンションの高さというのは幾分控えめになってます。「マダガスカル」ではその必要はないから。


その分ぶっ通しでキンキンのテンションを保ってるのがクリス・ロック。あんなにハイテンションでぶっとばしたら、収録の最後には酸欠で息も絶え絶えになってるんじゃないかと見てる方が心配になるほど。


クリス・ロックは、「マダガスカル」では人間の姿を捨ててるので(シマウマのマーティ)、何もかも自由です。何をやっても、何を言っても、人間の道理や倫理にしばられないから許される。クリス・ロックの神髄ここにあり! 


その全てを振り切ったクリス・ロックが歌ってるのが「ラッタッタラララ、ラッタッサーカス!」だったわけで、そりゃー私の心が鷲掴みされるわけだともー納得しちゃったわけで。


で、そのクリス・ロックの暴走を上手い具合に引き戻してくれるのがキリンのメルマン、デヴィッド・シュワイマー。「フレンズ」のロスそのまんま、というか首が長くなった分より間延びした感じで相変わらずペシミズムを漂わせたまま、絶妙に舵取りをしてくれてます。

そして男子3人を支え、時には叱咤激励するカバのグロリア。年頃は男子達と同じはずなのに、これはアニメのカバのどっしりした体型のせいか何故か肝っ玉母さんに見えてしまうという……。ジェイダ自身は小柄だけど均整のとれたプロポーションと精緻な美貌を持つ人なので、これもアニメじゃなければ彼女のこういう一面は見られなかった、いえ聞こえてこなかったかもしれません。芯の強さは同じだけどね♪


これに加えてキング・ジュリアン!

お声がサシャ・バロン・コーエンじゃないのさ!


「マダガスカル3」が始まる前に予告でサシャ主演の「ディクテーター」が流れたんだけど、これ、性格設定はそのままキング・ジュリアンだよね。キング・ジュリアンは見かけが可愛いから許されているけど、言うことは結構非道だもんな。


さらにペンギンズも加えた彼らの声のハーモニーはもんのすごくピッチが高くって、聞いてる内にいやでも血圧が上昇して興奮状態に陥ってしまうのですが……


試写の「マダガスカル3」は吹き替えだったんだよね。

う~ん、日本版の声優さん達もとてもいいんだけど、でも言葉の違いは如何ともしがたいですね~。英語だから発音とアクセントが違うのは当たり前として、たぶん声を響かせてる位置が違ってる。だからどうしてもトーンダウンして聞こえてくるのですよ。まあ「マダガスカル3」は90分以上あるので、このぐらいのテンションの方が聞きやすいのかもしれません。3D上映なら絶対吹き替えの方が見やすいし。


ちなみにこれは声の話であって内容のことではありません。


内容だったら、「マダガスカル3」は前2作を踏まえて、さらにそれより数段パワーアップしてますよ!


こんなに楽しい映画はホント久しぶり。暑い夏に見るのにはこれ以上ぴったりな作品はないかも?! 


今日から公開なので、ぜひ劇場に足をお運び下さい。


帰り道ではきっと「ラッタッタラララ、ラッタッサーカス! ラッタッタラララ、ラッタッアフロ! サーカスアフロ、サーカスアフロ、水玉水玉水玉アフロ!!」と歌が口をついて出ちゃうことでしょう♪(←浮かれて歌いながら帰った人)