リメイクしたくない! 『遊星からの物体X』新作が生まれた理由とは?(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120802-00000002-piaeiga-movi


1951年と1982年に発表され、映画ファンに衝撃を与えたSF映画の“知られざるエピソード”を描く衝撃作『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が4日(土)から公開される。熱狂的なファンを持つ映画の前日譚を描いた作品だが、スタッフもファンに負けないほどの熱烈な愛情をもって製作に臨んだようだ。

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本作は、1951年の『遊星よりの物体X』、1982年の『遊星からの物体X』の“はじまり”を描いた作品。南極大陸で考古学者ケイトと観測隊員たちが、人間の体内に知らぬ間に潜入し細胞に同化する特殊能力をもつ謎の物体と出会い、“仲間が謎の物体に乗っ取られてしまったのではないか?”という恐怖と戦う様を描く。

本作のプロデューサーは、ホラー映画の名作『ゾンビ』をリメイクした『ドーン・オブ・ザ・デッド』のマーク・エイブラハムとエリック・ニューマン。『ドーン…』での手腕を買われたふたりは、スタジオから『遊星…』のリメイクを打診されたが「手を出して良い作品ではないというのが最初の感想だった」と振り返る。しかし、エイブラハムは「原作の小説からカーペンターの映画(1982年版)までに共通する“信頼”と“疑心暗鬼”というテーマを見失わなければ、別の危機的状況を作り、その中で他人への信頼を描いていくことが可能ではないかと思うようになった」と語り、ニューマンは「この作品をあくまでもリメイクにしないために、“前に何があったか?”を描いたらどうかと提案した」という。つまり、ふたりが選択した道は、すでに存在する名作を改変するのではなく、オリジナルに敬意を表しながら、そこに連なる物語を新たに創作することだった。

脚本家のエリック・ハイセラーも『遊星…』の大ファンだ。彼は「ファンとしての僕が満足できるものが書ければ、世界中のファンを魅了できる自信があった。メインテーマは踏襲し、人間同士の信頼が試される極限を描くことができたと思う」と言い、マティス・ヴァン・ヘイニンゲンJr.監督も「オリジナルを愛している。作品が作品なだけに大きなプレッシャーも感じた。でもそれを上手く乗り越えてオリジナルの名誉に傷をつけない素晴らしい作品になった」と自信を見せる。

近年、名作やヒット作のリメイクや再映画化が続いているが、誰よりもオリジナルを愛し、敬意を表する製作陣はあえてリメイクではなく、前日譚を新たに描いた。そんな『遊星からの物体X ファーストコンタクト』に、2012年の観客がどのような評価をくだすのか気になるところだ。

『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
8月4日(土)TOHOシネマズ 日劇 モンスターバイトカーニバル第二弾