織田裕二、青島を定年まで演じたい「誰ひとり辞めたいとは思ってない」(オリコン) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120803-00000370-oric-movi


邦画の動員と興収の歴史を塗り替え、国民的作品となった『踊る大捜査線』が遂に完結。青島俊作としてファンを牽引し、誰もが愛する人気作に育て上げた主演の織田裕二が、15年目にして終止符を打つことになった今、万感の思いを明かした。織田にとっての“青島俊作”とは一体何か。

【ロングインタビュー】織田裕二が感じた「青島とすみれさん」の関係性

―― “青島コート”に袖を通すことはない

 撮影中、共演者と「今回で終わっちゃうんだね」と言ってはいたが、最後と決まった以上「ベストな芝居をしたい、ベストな作品を届けたい、という想いの方が強かったので、ノスタルジックに浸っている余裕はなかった」と明るく話しはじめた織田。それでも“刑事らしからぬ”スタイルを象徴してきた“青島コート”について話が及ぶと「青島があのコートを着て走るシーンを撮影しているときに、モニターで自分の走りを見て、『ああ、このコートを着て走ることはもうないんだな……』」と振り返り、しんみりした表情をみせた。

 ドラマから映画へと成長し、国民的作品となった“踊る”だが、織田が初めてその終わりを意識したのは、いかりや長介さんという逸材を失った時。「(いかりやさん演じる)和久さんが亡くなられた。ああ、これでもう次はないのかなと」と諦めていたという。それでも続編の製作が決まり、話を聞いたときには嬉しさがこみ上げたようだ。

 「『3』と『4』を続けてやるという話が持ち上がったんですよね。しかも、『新・踊る~』ということで、『湾岸署も引っ越します』『青島も係長になって部下ができます』『新しいメンバーも加わります』という新しい設定になって。青島が和久さんぐらいの年齢になって、定年を迎える頃ってどんな感じだろうと思っていたから、まさか今回で終わりだとは」と笑顔の中にもどこか寂しげな表情を浮かべていた。

 「ただ言えるのは、誰ひとり“踊る”をやめたいとは思っていなくて。けれど、ピリオドを打つときがきてしまったということなんですよね」と切ない心境を吐露した。

―― 「青島俊作=織田裕二」ではない?

 15年の集大成とあって、青島イズムがびっしりと詰まった最新作。「劇中、青島が語るシーンがあります。子どもからお年寄りまで誰が聞いても分かる言葉で伝えてくれるのが青島らしさでもあって、そのシーンによって“踊る”が言いたかったこと、青島のメッセージが分かりやすく伝わるはずです」と目を輝かせる。

 取材中、織田裕二という俳優が『踊る大捜査線』の魅力を語っているのか、それとも青島刑事が湾岸署の話をしているのか? 時々わからなくなってしまう。15年間演じ続けた“青島俊作”こそ、織田そのものに見えてくるのだが、「それは自分では分からないですね」と意外な答え。

 「ただ、青島って僕の生年月日(1967年12月13日)と一緒なんです。だからといって青島俊作=織田裕二ではなくて、違うところももちろんあります。でも、演じているなかで『俺もそう思ってた!』『その通り!』、『やってくれ、青島!』と、自分も共感してしまうところは自然と力が入っていたのは事実ですね」と頭を掻きながら、豪快に笑った。

── 劇場版公開初日前夜、ファンの姿を目撃し大感動

 これまでを振り返り、「作品の1話1話に思い出はもちろんあります」と一呼吸置いてから、「僕が忘れられないのは『踊る大捜査線 THE MOVIE』の封切り前日の出来事。今と違って当時は舞台あいさつのチケットは早い者勝ち。前日の夜に車で劇場前を通りかかったら、映画館の前にものすごくたくさんの人が並んでいるんです。“なんだ!この光景は!”と、鳥肌が立ちました」と当時を思い出し、「連ドラがあって、スペシャルドラマがあって、映画があって、そして待っていてくれるファンがいる、そんな作品に出会えたことを本当に幸せだと思った瞬間でもあって…。今でもあの光景は忘れられないですね」と感慨深けに目を細めていた。

 映画『踊る大捜査線 THE MOVIE FINAL 新たなる希望』は9月7日より全国公開。