3DCGは“演技”する。日本人クリエイターが語る映画『アベンジャーズ』(ぴあ映画生活) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120810-00000011-piaeiga-movi


いよいよ14日(火)から公開になる映画『アベンジャーズ』には多くの日本人スタッフが参加しているが、その中でクリーチャー・デベロッパーとして活躍しているのが山口圭二氏だ。そこで、これまで数々の超大作を手がけてきた山口氏に本作の観賞ポイントや、製作時のこだわりについて語っていただいた。

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クリーチャー・デベロッパーは、CGキャラクターが動く際に解剖学的な正確さを追求したり、デティールのクオリティを確保する役割で、山口氏は『トランスフォーマー』シリーズに登場する金属生命体の“変形(トランスフォーム)”シーンを手がけるなど多くの作品で活躍している。

3DCGではまず、コンピュータ上に立体のモデルを作成するが、山口氏は「CGはあくまでセットでしかないですし、美しくつくるだけでは仕事は終わりじゃないんです」と説明する。「ちゃんとモデリングしてもカメラの位置が変わると見え方が変わるし、胸の厚みが足りなかったり、パーツの見え方がおかしかったりする。それをパーツを動かしながら整えていくんです。現場でもヴァーチャルなモデルを一体だけ作って動かしていると勘違いしている人は多いんですけど、実際は1ショットごとにモデル整えることの積み重ねなんです。私たちは玩具屋ではないから、作ったままではなくて、“そのショットが何を要求しているか”を考えて、手間ヒマがかかってもショットが良くなるものを用意するんですね」。その作業は“映像効果”の範囲を超えて、“演技”の範囲におよぶ。CGで描かれたアイアンマンがどのタイミングで飛ぶのか、攻撃を受けてどのようなリアクションをとるかは、単なる“CG作成”ではなく“キャラクターの演技”に属するからだ。「(山口氏が参加する)ILMにもキャラクターに演技をさせることのできる優秀なアニメーターがたくさんいます。特撮の役割は変わってきていて、アーティストたちが“演技”について考える場所になりつつあります」。

ちなみに山口氏が手がけたアイアンマンのスーツ飛行・変形シーンでは、幼少期に観た日本のアニメの要素が消化され、活かされているという。「変身するときにパーツが分解するんですけど、その部分は日本のアニメのスタイルが活かされてますね。『新造人間キャシャーン』とか『宇宙の騎士テッカマン』を思い出すんですよ。子どもの頃に観ているから。僕は特別、アニメが好きだったわけじゃないんですけど、子どもの頃にノートとか教科書の余白に描いた怪獣とかロボットの落書きが脳にインプットされているんですね。実際には消化された状態で表現されていますけど、自分が小さいころに描いたものは画面のどこかに残っていると思います」。

『アベンジャーズ』
8月14日(火) 3D/2Dロードショー