クリント・イーストウッドの『許されざる者』を李相日監督&渡辺謙出演で日本映画として製作(Movie Walker) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120820-00000018-mvwalk-movi
1993年に第65回アカデミー作品賞ほか4部門を受賞したクリント・イーストウッド監督・主演の『許されざる者』(92)が、ワーナー・ブラザース映画により日本映画として製作、2013年秋に公開されることがわかった。アカデミー作品賞受賞作品が、邦画として製作されるのは日本映画史上初めてとなる。監督は李相日、出演は渡辺謙、柄本明、佐藤浩市。
【写真を見る】イーストウッド版でイーストウッドが演じていた役を演じる渡辺謙
イーストウッド版『許されざる者』に感銘を受けた、『フラガール』(06)、『悪人』(10)の李監督が、西部劇設定を時代劇へ移して製作に挑む。今回の挑戦に、李監督は「この作品の根底に流れるテーマは、未だ暴力の連鎖を断ち切れない現代の我々に深く突き刺さります。自分は正しいと疑いなく胸を張る人間よりも、迷いや贖罪を抱え、正しくありたいと葛藤する人間に寄り添えるもの、そんな映画を目指していければと考えています。西部劇の傑作と言われるオリジナル作品。そして何よりも尊敬してやまないクリント・イーストウッドという類まれな映画人に立ち向かえる機会を得られたことに、興奮と喜びはもちろん、怖れすら抱かざるえません」と心境を語った。今回の製作について、クリント・イーストウッド監督は「『硫黄島からの手紙』(06)で濃密な仕事をした私の良き友人である渡辺謙氏と李相日監督が、この度、日本の『許されざる者』制作に当たり、タッグを組むと聞いて大変光栄に思います」と期待を寄せているようだ。
渡辺、柄本、佐藤の起用について、李監督は「この人しかいない、そう思わせる圧倒的な存在感の渡辺謙さん。勝手に盟友と呼ばせていただきます、柄本明さん。幾度となくご一緒したいという思いがやっと叶った佐藤浩市さん」と語る。イーストウッド版でイーストウッドが演じた役を演じる渡辺は、「映画界での父とも思っているクリントの代表作をリメイクするのは、大きな挑戦になります。李監督と共に北海道の大地と格闘しながら、僕たちなりの『許されざる者』を積み上げていきたいと思っています」と力強いコメントを寄せ、モーガン・フリーマンが演じた役を演じる柄本は、「今回、栄えある名作『許されざる者』へ出演できること、非常に喜びを感じております。今、この時代へ本作を贈り出す者として、興奮を押さえきれません」と出演の喜びを語る。ジーン・ハックマンが演じた役を演じる佐藤は、本作の印象を「届けられた脚本を一読した時、著名な作品のリメイクなのに、オリジナルのような力強さを感じました。本に李相日監督の魂が入っていたからだと思います」と話す。
舞台は1880年の明治時代初期、幕府崩壊後の北海道。江戸幕府側の残党、釜田十兵衛は、幕末の頃は徳川幕府の命のもとに幾多の志士たちを斬り、その名は京都中で怖れられていた。その後、幕府の崩壊と共に転戦を重ね、五稜郭の激戦が終結した頃、男の姿はいずこかへと消え去っていた。新政府の執拗な追跡にも関わらず、その姿はようとして知れなかった。それから10年以上の歳月が流れ、十兵衛はアイヌの女との間に子を設け、人里離れた僻地で細々と暮らしていた。妻は人を斬ることでしか生きる証を持たなかった己を変えた唯一の存在だったが、先立たれ、子供たちとその妻の墓を守りながら静かな生活を送っていた。しかし、二度と刀を持たないと決めた男が、貧困の末、再び賞金稼ぎとして戦いに身を投じなければならなくなる。
『許されざる者』は9月中旬より11月下旬まで全編北海道ロケが行われ、2013年秋の全国公開予定。