香川照之のハジケっぷり絶好調! 二つの顔を演じ分けた名演にベテランの貫禄(シネマトゥデイ) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120911-00000014-flix-movi
数多くの話題作で熱のこもった快演&怪演を披露してきた香川照之が、内田けんじ監督の最新作『鍵泥棒のメソッド』ではなんと「売れない役者」を熱演、映画やドラマに引っ張りだこの香川自身とはかけ離れた役柄だが、実は意外な共通点があった。
映画『鍵泥棒のメソッド』特別動画
香川がふんするのはひょんなことから伝説の殺し屋から役者へと変貌してしまう男、コンドウ。殺し屋稼業であろうと役者であろうと妥協を許さないコンドウと、常に完璧に役になり切ってみせる香川照之。仕事への熱い思いとストイックな姿勢が、スクリーンの中で見事に重なり合っている。
完璧主義者の仕事人であるコンドウは、売れない役者になってからも手抜きは許さない。演技論に関する本を読みあさり、大事な部分はノートにメモる。理論だけではない。ほかの役者の練習風景を見て実技の特訓も欠かさない。その熱い役者魂と丁寧な取り組み方は、まさに香川照之のプロフェッショナルな姿勢に重なる。「脚本を読み込めていなかった」と語り、「もっと細かくひだを読み取らなくてはいけないのに、気分で押し切って、読めているつもりでも読めていなかった」と撮影当初を振り返る香川のストイックな姿勢と、コンドウの生真面目さがシンクロしてくる。
『劒岳 点の記』『あしたのジョー』、最近では『るろうに剣心』といった多彩な作品で圧倒的な存在感を見せつけてきた彼が、日本映画界をけん引する存在であることは言わずと知れたこと。その彼が「売れない貧乏役者」を演じているという設定自体も笑いを誘うが、さらに面白いのは“本物”の売れない役者、桜井との絡み。事件に巻き込まれ、命懸けの大芝居をうつことになった桜井にコンドウが演技指導し、スパルタ方式でリハーサルを繰り返す場面は迫力十分だ。
映画やドラマに加え、今年は歌舞伎役者としても初舞台を踏み、ますます俳優としての円熟味を増す香川。初タッグとなる内田けんじ監督との仕事を「勉強したっていう気分です」とも語る。真摯(しんし)さとすごみを併せ持つ香川の魅力が見事にハマり、コンドウの「二つの顔」が完成した。その深みのある演技をスクリーンで堪能してほしい。(長坂陽子)
映画『鍵泥棒のメソッド』は9月15日よりシネクイントほかにて全国公開